(※写真はイメージです/PIXTA)

「日本が財政破綻して目が覚めないと日本の凋落は止まらないのではないか」…、中央省庁、永田町、金融当局、大手銀行の人たちが共通した焦りとあきらめの発言をするといいます。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社)で解説します。

安倍一強政権は日本を崩壊させたのか

■日本は財政破綻しないと目が覚めないのか

 

官僚人事が首相官邸の主導になった影響も功罪両面があります。無論、政治主導のメリットもあるでしょうが、「省庁が自分で考える力を失った」(霞が関関係者)といったマイナス面の指摘もあります。

 

省庁から新しいアイデアが出にくくなり、国家公務員による政治のチェック力が弱まったと私自身も実感しています。私は、自分の選挙のことで頭がいっぱいの政治業の人よりは、社会を本気で良くしたいという志を持つ国家公務員の良心を信じています。

 

ある省庁の幹部が嘆いていたのは、自民党内で強い力を維持する安倍晋三元首相の言葉でした。財政健全化を軽視するかのような言葉に対し、はばからずに次のように私に漏らしました。

 

「こんなに幼稚な発言がまかり通っている」

 

それは、2021年7月、新潟県三条市で開かれた安倍さんの講演の発言でした。

 

「子どもたちの世代にツケを回すなという批判がずっと安倍政権の時にあった。でも必ずしもこの批判は正しくはないんです。特にコロナ対策においては、政府・日本銀行が連合軍でやっていますから、政府が発行する国債は日本銀行がほぼ全部買い取ってくれています。

 

みなさん、どうやって日本銀行は政府が出す巨大な国債を買うと思います? どこからお金を借りてくるのか。違います。紙とインクでお札を刷るんです。20円で1万円札ができるんですから。

 

つまり、それは新しいお金が誕生して世の中に出ていきますから。それはデフレ圧力に対抗する力にもなります。同時に円高が進んでいかない力にもなっていくということであります。日本銀行というのは、政府の言ってみれば子会社の関係にあります。連結決算上は実はこれは政府の債務にもならないんです。

 

ですから、子孫の代にツケを回すというのは正しくありません。ただ、2つだけ副作用があります。インフレがどんどん進んでいくという問題。もう一点は円の価値がどんどんどんどん暴落していくという問題。

 

でも、みなさんそんなことになってますか。全くなってない。いま下手をするとまたデフレに突入してしまうかもしれないという状況。今の状況であれば、もう1回、もう2回でもいい。大きなショットを出して国民の生活を支えていく、大きな対策が必要であります」

次ページ財政健全化は日本にとって最重要課題

本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自考

自考

岡田 豊

プレジデント社

アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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