取り入れたい「BORDERLESS WORK」という考え方
では改めて、業務内容と場所の関係についてのアンケート結果を見てみる。
働く上での8項目のシチュエーションについて、四つの異なる環境のどこが適しているかを選んでもらったものだ。すると、予想通り、クライアントとのコミュニケーションやコラボレーション、あるいは対外的に企業イメージをアピールする場所として最もふさわしいのはオフィスであった。
一方、集中したい作業や自己啓発、リフレッシュなどの場としては、自宅やフレキシブルオフィスのポイントが高い。つまり快適に働けるワークプレイスとは、どこか特定の場所ではなく、それぞれの作業に適した、多種多様な環境を選択できることが理想的だと言えるだろう。
コロナ前には、本社を中心に、状況に合わせてサテライトオフィスやプロジェクトオフィス、コワーキングスペースのようなフレキシブルな空間を選択する、というオフィス戦略がすでに見られ始めていた。
しかし、アフターコロナの働く場は、これらに加えて在宅はもちろん、通勤や出張における移動空間、旅行中のリゾート地、あるいはカフェやジムといった、多種多様な選択肢の組み合わせが考えられるようになるだろう。
つまり、場所の枠がない、リアルとバーチャルの枠もない、ワークとライフの枠もない、シームレスな世界で、生きて働くという考え方。社員一人ひとりが自分らしい生き方をクリエイトする「BORDERLESS WORK」という考え方が重要となる。そして、それを可能にする環境を提供することが、企業には求められるようになる。
最適な働き方を構築するには「パターンの明文化」
では具体的に、どのようにして最適なワークプレイスを構築すべきなのか。当社では、今後のオフィスの中長期プランを、「働き方の多様性」「オフィスのあり方」、そして「カルチャー」という三つの視点で戦略を立て、実行に移すべきだと考えている。そのための10のポイントを以下に説明しよう。
1.働き方の多様性を知る上で、まずは自社特有の、働き方のパターンを「WHO(誰が)、WHAT(どんな仕事を)、WHERE(どこで行うのがベストか)」で明確にすることが重要だ。それをもとに、出社率や制度の設定、オフィス必要面積の算出、テクノロジー投資などに対する、根拠に基づいた対策構築が可能になる。
2.働き方を多様化する理由を議論し、その効果目的と成果の測り方を整理する。これにより困難な改革のハードルを下げ、前向きに取り組みやすくする。
3.リモートワークの導入で薄れがちな帰属意識を高めるために、「当社らしさとは何か」という議論を重ね、誰にでもわかりやすく伝えやすい言葉で明文化する。それをワークプレイスの空間や活動に落とし込むことでビジョンを生み出す。
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