(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍において、多くの企業が今後の働き方・働く場の転換を余儀なくされました。アフターコロナ時代のオフィス戦略は、コロナ前と比べてどう変化していくのか。ダラスを本拠とする世界最大(2019年の収益に基づく)の事業用不動産サービス会社シービーアールイー株式会社(CBRE)が、各種データを紐解きながら、今後求められるオフィスの役割を探ります。

オフィス戦略のポイントは増員計画より「働き方」

これまで、オフィス戦略を立てる上で最重要視されてきたのは増員計画だろう。だが、リモートワークが社会に浸透した現在では、オフィスでは何人がどのように働くかを考える必要がある。

 

ここで、当社が実施したアンケートの回答をご紹介しよう。コロナ禍が始まる前からリモートワークを導入していた企業は3割、感染拡大を機に導入した企業が6割で、現在では9割の企業が実施している。これが先に触れたオフィス不要論の要因だ。

 

コロナ収束後も定常的な制度として維持する企業が多いとは思うが、乱暴な言い方をすれば、6割の企業は望んで実施しているわけではないと言える。なぜなら、回答企業の4割以上がリモートワークのメリットとした項目は、わずかに四つしかない。

 

最も多いのは、

 

「従業員の通勤時間の短縮、通勤に伴う精神的・身体的負担の軽減」で9割強。

次に「育児や介護との両立の一助となる」が7割弱。

「ワークライフバランスを図ることが可能」で6割弱、

「業務効率化、時間外労働の削減」が4割強


という結果だった。

 

一方、リモートワークの課題としては、

 

1.従業員同士のコミュニケーション。
2.部下・チームのマネジメント。
3.捺印。
4.心身の健康管理が難しい。
5.ペーパーレス化が進んでいない。
6.通信環境。
7.執務環境の整備。
8.働き方・評価制度の見直し、

 

という8項目を、4割以上の回答者が選択している。

 

その中には1や2など、解決が必ずしも容易でないものも多い。さらに興味深いのは、通勤に伴う精神的・身体的負担の軽減がリモートワークのメリットで挙げられている一方で、社員の心身の健康管理が難しいとされていることだ。企業にとって最も重要であるはずの生産性についても、「上がった」との回答と「下がった」が拮抗していた。

 

つまり、その職種、業種、あるいは社員一人ひとりの働き方によって、良い面も悪い面もあるわけで、リモートワークの普及率向上イコールオフィス不要というのは、あまりに乱暴な議論だろう。事実、今後のオフィス床の増減予定についても、「増やす」と「減らす」がほぼ拮抗している[図表2]。

 

[図表2]オフィス使用床の増減
[図表2]オフィス使用床の増減

 

ただし、最も多くの割合を占めたのは、「わからない」との回答だ。つまりリモートワークの導入に加え、さらなる働き方改革を推進する上で、オフィスを含めてどのようなワークプレイスを構築すべきかが、判断できない状況にあると言える。

 

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※本記事はシービーアールイー株式会社(CBRE)の「BZ空間 2021夏季号」より一部抜粋・再編集したものです。
※本文書は貴社の責任と判断で利用いただくものであり、弊社は、貴社又は第三者が本文書に基づいて行われた検討、判断、意思決定及びその結果について法律構成・請求原因の如何を問わず一切の責任を負わないものとします。

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