大船に乗ったつもりでいてくれよ!「年金300万円・貯金5,000万円」威風堂々、自信みなぎる65歳夫…一転、セカンドライフの荒波に座礁。3年後に通帳をみた妻が絶叫したワケ【FPが解説】

大船に乗ったつもりでいてくれよ!「年金300万円・貯金5,000万円」威風堂々、自信みなぎる65歳夫…一転、セカンドライフの荒波に座礁。3年後に通帳をみた妻が絶叫したワケ【FPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職後のセカンドライフ。これまでの経験や長年の趣味を活かして起業するなど、新たな挑戦に胸を膨らませる人も少なくないでしょう。しかし、現実はそう甘くないようです。思い描いていた理想と現実のギャップに苦しみ、大切な老後資金を失ってしまうケースもあって……。本記事ではAさんの事例とともに、定年退職後の起業で直面する可能性のあるリスクについて、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。

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平均以上で威風堂々の夫

公的年金額は毎年、厚生労働省から次年度の年金額改定についてお知らせがあります。2024年度の厚生年金保険は夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は23万483円でした※1

 

Aさんは65歳で定年退職をしましたが、年金は夫婦で300万円(月25万円)と標準以上です。退職金含めての貯蓄額は、5,000万円。世帯主が65歳以上の世帯の平均貯蓄残高の平均値が2,463万円、貯蓄保有世帯の中央値では1,604万円であるため、平均以上の老後資金を確保できています※2

 

Aさんは大きな負担となるローンもなく、健康状態もよいため、定年後の生活にも自信に満ちていました。

 

「人生100年時代、まだまだセカンドライフを謳歌しなければ!」

思い切って起業

Aさんの趣味はテニス。どうせなら、趣味を事業に活かせないだろうかと考えていました。そんなとき、テニス仲間のYさんから、ある事業を立ち上げないかと提案されます。

 

「インドアシミュレーションテニススクールはどうだろう。天候に左右されず、楽しめるし、ちょっとした喫茶室を作って、気の合う仲間とコーヒーでも飲みながら語り合うこともできる」

 

初期費用はYさんと折半。貯蓄から立替えて、軌道にのったら少しずつ取り戻せれば問題ないだろうと一念発起します。妻は不安そうにしているので、「大船に乗ったつもりでいてくれよ」とそのかわり貯蓄の半分は手を付けないことを約束しました。

 

喫茶室はAさんの担当。学生のころ、学校近くの喫茶店でアルバイトしていた経験があり、当時のことを思い出しワクワクします。大勢の仲間とテニスをすると、懇親会に喫茶室を貸切にして、ケータリングで楽しいひと時を過ごしていました。

 

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