(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、海外投資家のなかで日本の不動産市場に対する関心が高まっており、2020年は前年に比べて30%増加しました。海外の投資家たちが日本の不動産に投資を続ける理由はなにか。シービーアールイー株式会社(CBRE)の難波ひとみ氏が、さまざまデータをもとに紐解いていきます。

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海外から関心が集まる日本の投資市場

日本の投資市場に対する投資家の関心が高まっている。本調査によれば、海外投資家が選んだアジア太平洋地域でもっとも魅力的な都市は、東京が2年連続で1位に、また大阪も前回の12位から9位に浮上した。

 

2021年のインバウンド投資額は2020年より増加する可能性もある。日本の都市をもっとも魅力的と回答した海外投資家の66%が、2021年の取得額は「昨年より増加する」と回答し、前回調査(44%)を大きく上回った。

 

また、これら海外投資家の主な投資対象は「物流施設・インダストリアル」が56%と過半数を超えた。その一方で、魅力的な投資戦略としては、「オポチュニスティック」が30%ともっとも高く、前回調査から22ポイントも増加した。次いで「バリューアッド」や「コア」がともに26%となった。

 

キャッシュフローの安定性のみならず、パンデミックに見舞われた現状だからこその投資機会にも関心が高まっていると言える。

 

[図表1]クロスボーダー投資家が選ぶ魅力的な都市
[図表1]クロスボーダー投資家が選ぶ魅力的な都市

日本は減少の一方…海外投資家による投資額は30%増

2020年の日本の投資家による投資額は、J-REITが1兆3,490億円で対前年同期比2%増加した一方で、J-REIT以外の国内投資家は1兆1,690億円で同15%減少した。J-REIT以外の国内投資家の投資額減少は、緊急事態宣言下の4月から5月にかけて案件が中止や延期となったことに加え、その後もコロナ禍の影響で様子見の姿勢が広がったことが要因として考えられる。

 

一方、海外投資家による投資額は1兆3,300億円と、前年に比べて30%増加。投資額は2年連続で1兆円を超えた。世界的な低金利政策が続くなか、運用難に直面した海外の機関投資家の資金が、相対的に利回りが高い不動産投資に流入している。

 

なかでも日本の不動産市場に対する関心は2020年に高まったと言える。アジア太平洋地域随一である市場規模、超低金利下でキャップレートスプレッドが相対的に厚いことに加え、COVID-19の感染者数が比較的抑制されてきたことなども理由として挙げられる。

 

[図表2]主要不動産取引(投資家タイプ別取引額)
[図表2]主要不動産取引(投資家タイプ別取引額)

 

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※本記事はシービーアールイー株式会社(CBRE)の「BZ空間2021夏季号」より一部抜粋・再編集したものです。
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