「本来の仕事」に手が回らない中小企業が多すぎる
「時間がなくて死にそうだ」
「土日ももちろん仕事だ…」
特に中小企業の場合、経営者が自身の忙しさを訴える「嘆きの声」を一度ならず口にしたことがあるはずです。
「忙しい=時間が足りない」。今の状態のままでは、経営者が本来しなければならない仕事を行うことはできません。その結果、最悪の場合には、会社が危機的な事態に陥ることになるかもしれないのです。
中小企業の経営者が本来しなければならない「仕事」とは何なのか、また、なぜそれを行わなければ会社が危うくなるのか──その答えに触れる前に、まずは中小企業の経営者たちが時間の足りない状況に追い込まれている背景について、詳しく確認していきましょう。
初めに「社長が忙しくなっているそもそもの理由」は何でしょうか。中小企業の経営者は、さまざまな日常業務に取り囲まれています。
まず、起業したばかりで社員が一人もいないような段階では、営業はもちろん、仕事で使う什器・備品の購入や、郵便物の発送など、大企業であれば、営業部、総務部など各部門のスタッフが行っているような仕事をすべて、社長が一人でこなさなければなりません。
社員を雇い入れるような場合でも、「ハローワークで募集するか、それとも採用エージェントに依頼するか」という細かいところまで経営者がいちいち判断しなければならないので、大変な手間と時間を取られることになります。
また、ある程度会社が大きくなった段階でも、社員の数が四、五人程度であれば、日常業務の大半をまだまだ社長が行わざるを得ません。例えば営業職として採用した社員に総務の仕事を行わせようとしても「自分はその職種で雇われたわけではない」と拒まれてしまうでしょうし、そもそも複数の職種の仕事を任せられるだけの十分な能力を持ち合わせているような社員などめったにいないはずです。