税務調査が…細かいトラブルが積もり続けた社長の末路
時間的な余裕がないなかで経理作業を日々続けていれば当然間違いが発生することもあるでしょう。しかも、経理を担当しているのが経営者だけであれば、第三者の目が入らないままミスが繰り返される恐れがあります。そうした過ちが積もり積もった結果、大きなトラブルへと発展することもあり得ます。
例えば、税務署が「おや、なぜこの売上でこれだけの利益しかないのだろう?」などと、経理ミスによって生まれた不自然な数字を怪しめば税務調査に入られることになるかもしれません。その結果、多額の重加算税が課され、さらには青色申告が取り消されて、銀行からも借り入れができなくなる…もしかしたら、そんな思いもよらない事態に一気に追い込まれることになるかもしれないのです。
ことにインターネット取引等の発展・普及に伴い、経済活動の多様化・スピード化が進んでいる結果、経理を行ううえで理解しておくべき知識やノウハウは、年々、複雑化の度合いを高めています。
実際、ひと昔前には、経営者の配偶者が算盤(そろばん)や電卓を片手に帳簿をつけている光景をあちらこちらの中小零細企業で目にしましたが、今ではあまり見かけなくなっています。経理の入門書の類いを読んで学んだ程度の付け焼き刃の知識では、帳簿をまとめることが難しくなってしまったためです。
このように経理・会計の仕組みが年々複雑化していることもあって、経理ミスを犯す危険性は以前に比べて格段に高まっているといえるでしょう。にもかかわらず、経営者が一人で経理業務を続けることは経営に対するリスクが大きく、決して好ましいことではないといえるのです。