亡き父が愛情を注ぎ続けた「マイホーム」
小野さんの父親は、配偶者(小野さんの母親)を定年退職前に亡くし、晩年までひとり暮らしをしていました。子どもは小野さんと弟の2人で、それぞれ就職を機に独立し、20代で結婚。父親が暮らす自宅は、父親が50代になってから建てたものですが、当時大学生だった小野さんと弟も数年間はここで生活をしており、自分たちの部屋が残っています。しかし、小野さんと弟は結婚後、それぞれ勤務先のそばに転居し、実家に戻ることはありませんでした。
母親が亡くなってからしばらくのち、小野さんは父親に自分の家族が暮らす賃貸マンションで同居してはどうかと提案しましたが、父親は自分で建てた家に愛着があり、丹精した庭や周辺の静かな環境も気に入っているので離れる気持ちはないと、ずっとひとり暮らしを続けていました。
その間小野さん夫婦が折りを見て父の家を訪れていましたが、80代になると、歩いたり家の掃除をしたりといった日常生活に支障をきたしはじめたので、老人ホームに入所することとなりました。ただし、自宅はそのまま維持し、小野さんがときたま父親を連れて帰っていました。
老人ホームに入所して数年後、父親は老衰のため亡くなりましたが、小野さん夫婦は十分親孝行を果たしたという気持ちで、後悔はありません。
被相続人:父(配偶者は故人)
相続人 :2人(子ども2人…長男・相談者、次男)
父親の財産は、自宅と数千万円の預金です。相続人は小野さんと弟の2人で、小野さんはほぼ等分に分けるつもりですが、自宅は小野さんが相続し、すでに自宅を購入している弟には預金を分けることで話がまとまっています。とはいえ、やはり相続税によって預金が少なくなることに不安があるため、節税について相談できる先を探し、筆者の事務所を訪れたとのことでした。
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