米誌『U.S. News & World Report』にて、「2018年もっとも投資に適した国ランキング」1位に選ばれたフィリピン。はたしてフィリピン不動産投資の魅力はどこにあるのでしょう? そして必ず知っておくべきリスクとは…? 今回は、フィリピン不動産の価格、税金、詐欺の実態、投資リスク、使えるローン、期待できる利回り、管理や賃貸の実際や、中古物件の特徴など、購入前に知っておくべき情報をまとめて解説。そして、連載第61回「フィリピン不動産投資で失敗する典型的なパターン」についてもご紹介します。

コロナ禍で富裕層は「フィリピン永住権」に注目

コロナ禍で世界が大混乱に陥り、改めて「資産をどう守っていくか」に関心が高まりました。そのようななか、富裕層を中心に注目を高めているのが「永住権」です。

 

海外で「銀行口座」を開設する際、日本のパスポートで作るのと、その国のIDを使って作るのでは、将来的にできることが大きく変わってきます。富裕層はそこまで見越して、フィリピンの永住権を取得しはじめているのです。

 

投資すべき国No.1「フィリピン」を取り巻く最新事情【第4回】

購入前に知りたい! フィリピン不動産の必須知識10

1:フィリピン不動産の購入・所有でかかる税金は?

フィリピン不動産の購入時・所有時には、どれくらい税金がかかるのでしょうか? 取得時の税金は印紙税(ドキュメンタリー・タックス=DOC Tax)1.5%、動産取得税(インカムゲイン(運用益)タックス)6%、固定資産税(原則毎年かかるが、デベロッパーによっては竣工後2年間免除)、消費税(VAT)12%がかかります。

 

 

所有時の固定資産税は、年に一回、国が発表する物件の評価額によって決まります。家賃収入には、所得税がかかりますが、日本居住でフィリピンに物件を所有している場合、日本でも支払う義務があります。また、フィリピン国内で税金を支払うと、外国税控除を受けることができます。

【第31回】フィリピン不動産の「購入時・所有時」にかかる税金の概要

 

2:フィリピン不動産の価格はどれくらいが相場?

当然ながら物件やエリアによって、価格帯は変わってきます。富裕層向けのプレビルドから、地元の人が実際に住む600万円台の中古物件まで様々です。投資用に日本人が買いやすい物件としては、およそ1,000万円ぐらいからが現実的でしょう。

 

売り出し直後のプレビルド物件は安く購入できます。ただし、払い込み期間が長い(3年くらいが主流)というデメリットもあり、1,000万円の物件を売り出し直後で買った場合、竣工までの月々の支払いは毎月6万~8万円。売り出しから年数がたっていると、払い込み期間が短いため、その分、毎月の支払いが高くなっていきます。

【第14回】フィリピン不動産投資では「いくらの物件」を買うべきなのか?

【第64回】第フィリピン不動産投資の王道…「売り出し直後」の物件購入

 

3:フィリピン不動産購入でローンは使える?

フィリピン不動産投資、最大のメリットは融資です。フィリピンには島ごとに銀行があり、その数はおよそ1,000に及びます。基本的にはフィリピンで納税していないと、不動産ローンは引けないことになっていますが、この基準は絶対のものではありません。物件価格の60~70%の融資が、相場となっています。

【第27回】フィリピン不動産投資最大のメリット!? 「融資」の概要

 

4:フィリピン不動産投資で詐欺にあうことは?

どこのデベロッパーかわからない個人が建てているプレビルド物件は危険です。日本ではあり得ないことですが、建物自体が建たないというケースもあります。青田買いのようなプレビルド物件が主流になっているからこそ、信頼のできるデベロッパーを選ばなければなりません。

【第17回】フィリピン不動産投資で「デベロッパー」選びが最も重要な理由

 

5:フィリピン不動産の管理は大変?

フィリピン不動産投資では、購入後の管理が重要となります。日本のようにワンストップで、売買仲介・管理運営・賃貸仲介のマッチングまでしてくれる会社は、ほとんどありません。日本と同じような購入後のサポートを期待して「任せておけばなんとかなるだろう」と考えていると、厳しい現実に直面することになります。

【第38回】フィリピン不動産投資で多くは期待できない「アフターフォロー」

 

6:フィリピン不動産投資のリスクは?

アジア主要都市の不動産価格と比べると、フィリピン不動産の安さは際立ちます。高級コンドミニアムでも、東京の高級都心マンションの約25%の価格で購入が可能です。

 

外国人が所有権で不動産購入できる東南アジアの国は、フィリピンの他にもマレーシアがあげられますが、外国人が購入する場合には、「最低購入金額」が定められており、高額投資になるので、リスクもそれに伴い大きくなります。フィリピンでは、「最低購入金額」が定められておらず、低価格物件も投資用に購入することが可能です。

【第6回】フィリピン不動産はなぜ「投資リスク」が低いといえるのか?

 

7:フィリピン不動産、賃貸の状況は?

フィリピンには日本のように路面に不動産業者が構えていることはありません。『スーモ』や『アットホーム』のような賃貸ポータルサイトもなく、入居募集は賃貸仲介の不動産会社や個人のブローカーを通じて行われます。

 

現地のフィリピン人が不動産物件を探す際には、主にクチコミとインターネットが利用されます。よく利用されるのが、『OLX』という個人が売買できるサイトですが、こちらは不動産専用ではなく、日本の宅建業法のように法律に基づいたルールはありません。

 

また、フィリピンでは契約期間分(1年)の家賃を、まとめて小切手で支払うのが一般的です。基本的にデポジット(敷金)は2カ月分なので、14カ月分の家賃を小切手で発行します。オーナーを家賃を決済するために銀行に行って、毎月、家賃を現金化します。この支払い方は厳密に決まっているわけではなく、オーナーによっては、別の方法を選択しているケースもあります。

【第41回】フィリピンの賃貸物件で上手に「客付け」する方法

【第46回】フィリピン賃貸物件における主な「家賃の支払い」方法

 

8:フィリピン不動産、中古物件の特徴は?

フィリピンには「リセール」と呼ばれる通常の中古物件と、「ラッシュセール」と呼ばれる売り急ぎ案件があります。「ラッシュセール」は相場より安く買える可能性がありますが、購入までのスピードが求められます。

 

完成したコンドミニアムが中古として売却に出される場合もあります。しかし、日本のように区分所有マンションのマーケットが大きくあるわけではありません。中古情報の多くは表に出ることがなく、仲介業者間でやりとりされています。

 

前述の『OLX』というサイトで探す方法もありますが、架空請求等の詐欺的事件が発生することもあるので、相場価格の確認程度にとどめておいたほうがよいでしょう。

【第8回】フィリピン不動産のプレビルド、中古物件、競売物件の特徴

 

9:フィリピン不動産投資、利回りはどのくらい期待できる?

フィリピン不動産における利回りは7~8%程度が一般的なターゲットです。サラリーマン投資家が購入できる物件価格帯からすると、よくて都内の市部、千葉・埼玉・神奈川3県ですが、フィリピンならば、日本でいう銀座・六本木という一等地のコンドミニアムを利回り7~8%で購入できます。また、収益性が高いホテルコンドミニアムなどでは、利回り10%以上を目指すことも可能です。

【第42回】フィリピン不動産投資で「利回り10%以上」を実現する方法

 

10:フィリピン不動産の種類と特徴は?

外国人投資家は、主に「コンドミニアム」が投資対象となります。コンドミニアムとは、日本でいう分譲マンション(区分所有マンション)にあたり、集合住宅の1室を区分登記して所有することが可能です。「タウンハウス」(日本でいうテラスハウス)も、登記上はコンドミニアムとなり、外国人が所有することできます。

 

フィリピンでは外国人の「土地」の所有が法律上禁止されています。「戸建て住宅」も登記上は土地と同一に扱われ、外国人は所有することができません。購入する場合は、現地法人を設立し、法人名義で購入する方法がありますが、会社の代表はフィリピン人でなければならず、フィリピン人所有の株の比率が60%以上と決められており、ハードルは高いです。

【第7回】土地、コンド、タウンハウス・・・フィリピン不動産の種類と特徴

 

 

最新のフィリピン不動産情報こちらをチェック!

 

 

それではフィリピン不動産の必須知識をふまえたうえで、典型的な失敗パターンを見ていきましょう。

失敗パターン1…不動産の販売業者が賃貸仲介に不案内

1:内装費をかけ過ぎて失敗

内装費にお金をかけ過ぎてしまい、それを取り戻すべく、相場より高い賃料に設定したケースです。自分で住むのと貸すのでは目的が違うため自己満インテリアは厳禁です。当然のごとく、相場よりも高い賃料では、入居者がなかなか決まりません。長く空室が続き、結局のところ値段を下げざるを得ず、見込みより低い利回りとなってしまいます。

 

2:中途半端なデザインにして失敗

インテリアデザインにオーナーの趣味を取り入れたところ、フィリピン入居者にまったく受けず、やり直しとなりました。国によって好まれるデザインは変わります。ある程度実績のある、不動産投資の中級者に起こりがちな失敗です。現地の管理会社の意見をしっかり聞いて、需要を見極めることが大切です。また、家具や家電は必需だからと言って、揃え過ぎて入居者の人が何もアレンジできない物件などは敬遠されることもあります。

 

3:日本人仲介業者に依存し過ぎて失敗

フィリピンの賃貸事情を知らない、日本人の仲介業者にすべてを丸投げして失敗するケースです。このケースは特に頻発しています。ところが残念ながら、フィリピン不動産の売買仲介を行っている業者が賃貸仲介に詳しいかと言えば、実際にはほとんど知らないのが実情です。

 

4:デベロッパーに依存し過ぎて失敗

日本人仲介業者は頼りにならないからと、現地のデベロッパーに依存するケースも見受けられます。デベロッパーは基本的に開発業者です。販売は行いますが、管理運営についてのサポートは行っていません。また最初の契約までのサポートはしますが、その後の支払い期限日の告知、転売に対してのサポートといったことは行いません。

 

5:管理会社が見つからなくて失敗

日本との大きな違いは、賃貸仲介までサポートできる管理会社がほとんどないという点です。また家具家電を設置しなくては貸し出すことができませんから、賃貸に出すための準備が必要です。そういった手配の仕方がわからず(依頼できる業者が見つからず)、機会をロスしている投資家もいます。

失敗パターン2…購入したが売却タイミングを逃す

1:焦って売却して失敗

キャピタルゲインを狙って購入した投資家の失敗例です。竣工直前に転売しようとしたところ、売り手がまったくつかないため、焦って投げ売りをした結果、購入価格の半値程度でしか売れませんでした。収益不動産の売買はタイミングを見て行うものです。急げば急ぐほど足元を見られるのは、フィリピンに限ったことではありません。

 

2:フィリピン人名義なので売却できない

物件の名義人をフィリピン人にしてしまったため、いざ売ろうと思ったときに書類にサインを取り付けられないというケースもあります。売りたいタイミングを逃し、どんどん機会損失してしまい、フィリピン人に従うしかなくなってしまいます。話がこじれると、弁護士を入れて権利を主張するしかなくなる場合も往々にしてあり得ます。弁護士費用、期間もかかるため、機会損失も起こります。

フィリピン不動産投資で失敗したくないのなら…

いろいろとメリットの多いフィリピン不動産投資ですが、正しい情報を集め、適切な行動を起こさないかぎりは、やはり失敗してしまうリスクもあるのですね。

 

本連載は全68回の連載で、フィリピン不動産投資についての情報を紹介しています。

 

【連載】「フィリピン不動産投資」が資産形成に最適な5つの理由

 

第1回、第2回では「タイムマシン投資」が実現できる東南アジアのなかでも、人口ピラミッドを調べると、フィリピンが特に有利であることがわかります。なぜ、今、フィリピンなのか…? ぜひチェックしてみてください!

 

 

本連載は、2016年2月27日刊行の書籍『億万長者になりたければ、フィリピン不動産を買いなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

億万長者になりたければ、 フィリピン不動産を買いなさい

億万長者になりたければ、 フィリピン不動産を買いなさい

鈴木 廣政・渡辺 頼子

幻冬舎メディアコンサルティング

止まらない人口減少、オリンピック相場の反落、不動産市場の縮小――国内不動産暴落のXデーは、刻一刻と近付いています。 これを裏付けるように、事実、家賃下落や空室率上昇などの問題は年々深刻化しているのです。 そん…

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