日本人にとって最も購入しやすいのはコンドミニアム
前回紹介した内容を踏まえると、日本人投資家にとって、最も購入しやすいのがコンドミニアムといえます。コンドミニアムを購入する方法としては、プレビルド、中古、競売の3種類がメインとなります。
<プレビルドとは>
プレビルドとは、コンドミニアムを企画段階で販売契約することです。フィリピンだけでなく、新興国の都心部では一般的な販売方法で、「プリセール」とも呼ばれます。
耳慣れない言葉かもしれませんが、日本でもマイホーム用の分譲マンションが同じように売られています。パンフレットやモデルルーム、その計画内容などでマイホームを購入することは珍しいことではありません。
プレビルド物件は、計画から完成まで3~5年かかります。その間、購入タイミングによって値段が変わります。計画段階から工事が進むにつれて値段が上がり、竣工時は計画時に比べて30%ほど販売価格が高くなることが多いです。そのため、計画段階でコンドミニアムを購入することが割安に購入するポイントとなります。
なお、プレビルド物件が完成した新築物件は、RFO(Ready For Occupancy)と呼ばれます。RFOでの購入はプレビルドに比べて割高にはなりますが、現物を見て購入できるので、「建っていない建物に投資するのは不安」という投資家に向いています。
その他、レントオンという購入方法があります。レントオンでは頭金20%以上を支払い、その後は月々分割でデベロッパーに支払います。市場価格より10〜20%割高になります。
中古物件はネット上でも売買されているが・・・
<中古物件とは?>
完成したコンドミニアムが中古として売却される場合もあります。といっても日本のように区分所有マンションの中古マーケットが大きくあるわけではありません。
中古にもいくつかの種類があり、そのほとんどは表に出ることなく、情報は仲介業者間でやりとりされています。まれにデベロッパーの管理会社より情報が出ることもあります。
■中古物件の種類
「リセール」とは、通常の中古物件を指します。「ラッシュ」とは「ラッシュセール」ともいい、物件を売り急いでいることを指します。相場よりも安く買える可能性がありますが、購入するまでスピードを求められます。
その他、フィリピンの中古物件は、『OLX』というサイトで探す方法もあります。日本でいうと『楽天』や『Yahoo!』のようなネットショッピングサイトで、オークションサイトでもあります。
それこそ何でも売っているので、個人がサイト上で自由に物件を売ることができます。ただし、運営側はサイトに掲載された情報を精査しているわけではないため、売買時に「騙した! 騙された!」という問題や架空請求等の詐欺的事件が発生することもあります。
そのため、このサイトで売買するというよりは、どちらかと言えば、相場価格の確認などマーケティングに適しています。
競売物件は相場よりも安く購入できるのでオススメ
<競売とは?>
競売とはローンの支払いが滞り、債権の担保として銀行に譲渡された物件です。ここで、競売物件をご存じない方のために、まずは日本の競売物件について説明します。
日本の競売物件は、裁判所が仲介する形で物件が売りに出され、購入するには競売で落札する必要があります。競売物件では建物内部を見て調査することはできません。3点セット(物件明細書・現況調査報告書・評価書)から判断します。
かつてはプロのみが参入する競売でしたが、市場価格より安く購入できるとあって一般人からも人気が出て、日本の競売ではさほど安く買えないのが実情です。
対して、フィリピンには裁判所が仲介するようなシステムがありません。競売物件の情報は口コミで拾い、弁護士、銀行員や個人ブローカーが直接販売します。
大抵の場合は、「ラッシュ」といって急ぎで売りに出されるため、早い者勝ちとなります。そのため競売物件を狙うには、数百万円~数千万円のキャッシュを用意しておく必要があります。
また日本の競売のように、フィリピンでは基本的に公的文書の仕組みがありません。売る側が用意するものは登記簿謄本と、ID(パスポートや運転免許証などの身分証)の2つのみ必要です。
ちなみに土地や家だけでなく車も競売に出されますが、フィリピンでは「競売の車は買わないほうがいい」と言われています。住居は内見ができますが、車は直接確認できないためトラブルが多いのです。
次の購入者に嫌がらせで車の中に土を入れたり、車検のシステムもしっかり行き届いていません。素人は手を出さないほうが無難です。
私たちは競売物件を1週間で11件売ったことがあります。早急にという売り主の要望があり、市場価格よりもかなり値を下げた状態で販売しました。とはいえ購入金額よりは高値で売れています。なぜならその物件は3年で50%も値上がりしたからです。
このようにフィリピンの競売物件は、日本のシステムと違いはあるものの、相場よりも安く購入することができるためオススメです。