(※写真はイメージです/PIXTA)

いつ収束するのかみえない新型コロナの“第7波”。かつてないスピードでの感染拡大に伴って、医療体制がひっ迫しています。政府は“第6波”までとは異なり「行動制限は必要ない」というスタンスを崩しません。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)で1年前のケースを解説します。

「東京オリ・パラ開催」と「人の命」

尾身会長はオリンピック開催が感染拡大の一因になった可能性があると指摘。尾身会長はさらにこう発言しました。

 

「政治のリーダーたちのメッセージが一生懸命出されていますが、必ずしも一体感のある、強い、明確なメッセージはなかったということもあると思います」

 

政治のリーダーたちのメッセージについて、一体感がなく、弱く、不明確だと主張したのです。痛烈な批判です。

 

オリ・パラ開催の是非を振り返ります。

 

「たくさんの感動をもらったので、やってよかった」

 

こう感じた国民も少なからずいるでしょう。でも、逼迫状態の医療の現場、自宅療養の現場は悲鳴、悲嘆、怒りを発していました。

 

検証しなければいけないのは、開催の直接の影響で亡くなった日本国民や、他国・地域の人がいたのかどうかです。開催に踏み切った政府は、政府の責任において、この検証を試みるべきです。

 

無論、新型コロナウイルス感染による死亡だけではありません。新型コロナウイルス感染急増によって医療施設が逼迫した影響で、新型コロナウイルス以外で、手術や診療が受けられなかったり、先延ばしされたりしたことで死亡したケースがあったかどうかです。

 

例えば、がんなどの治療も一刻を争うため、延期される影響は大きいといえます。「歴史に残るオリ・パラ開催」と「人の命」。どうしても重ねて考えてしまいます。

 

菅首相は支持率低下が止まらず、自民党内の求心力も低下。ついに2021年9月3日、記者の前で退陣の意向を表明しました。

 

「先ほど開かれました自民党役員会において私自身、新型コロナ対策に専念したい、そういう思いの中で、自民党総裁選には出馬しないことを申し上げました。総理大臣になってから1年間、まさに新型コロナ対策を中心とする様々な国が抱える課題について全力で取り組んできました。(中略)出馬を予定する中で、コロナ対策と選挙活動を考えた時に実際、莫大なエネルギーが必要でした。やはり両立はできない。どちらかを選択すべきである。国民のみなさんにお約束を何回もしています新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために私は専念したい。そういう判断をいたしました。(中略)また来週にでもあらためて記者会見したいと思います。以上です」。

 

菅首相は記者の質問を受け付けず、2分足らずで打ち切りました。

 

「説明を放棄するんですか」「総理、今日は最後まで答えてください」。記者の呼びかけにも応じません。辞任を表明した日に首相として経緯、理由を説明しない姿勢は、やはり国民軽視ではないでしょうか。政治レベルの低さを象徴していると感じました。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

 

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本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自考

自考

岡田 豊

プレジデント社

アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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