(※写真はイメージです/PIXTA)

「日本が財政破綻して目が覚めないと日本の凋落は止まらないのではないか」…、中央省庁、永田町、金融当局、大手銀行の人たちが共通した焦りとあきらめの発言をするといいます。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社)で解説します。

財政健全化は日本にとって最重要課題

未曽有のコロナ禍と闘うには、国家の力を全力投入すべきでしょう。財政出動も然りです。

 

しかし、先進国で最悪であり、将来の国債暴落リスクも指摘される日本の財政をめぐって、誤解を招くような軽率な発言は慎むべきではないでしょうか。国の借金である国債の発行残高はとうとう1000兆円を超えました。財政健全化は日本にとって最重要課題のひとつです。

 

日本国債が暴落し、財政破綻状態になれば、日銀の信用だけでなく、日本という国家の信用が失われます。通貨円は暴落し、世界から“日本”が買い叩かれるかもしれません。超インフレになり、国民生活は苦境に陥ります。失業、預金封鎖、増税なども想定されます。結局、すべての負担は国民に押し付けられます。

 

先進国と呼ばれなくなり、国際社会で現状のポジションを回復することは難しくなるでしょう。「国債は暴落しない」「財政は破綻しない」と主張する学者やエコノミストなどもいます。

 

万が一、そうだとしても、本物の政治家であれば、最悪の事態を想定して、借金(財政出動)に依存せず、自ら困難な課題に立ち向かうのが本来の姿ではないでしょうか。安易に日銀券を刷りまくればいいと誤解されるような発言は控えるべきです。

 

また、日銀は政府の子会社ではありません。日銀法によって、少なくとも金融政策の運営において政府からの独立性が確保されています。

 

肝心なのは、財政破綻するかしないかのからくりや、経済理論の問題ではありません。避けて通れない課題と闘うことを避け、国債発行という借金を重ね、負担を先送りしてしまえばいいという、安易で、ずるい発想が問題なのです。

 

自考を放棄してはなりません。この財政の問題は、政治家に任せ切りにするのではなく、私たち一人ひとりが自考すべき、避けては通れないテーマなのです。

 

「日本が財政破綻して目が覚めないと日本の凋落は止まらないのではないか」
「財政破綻して行きつくところまで行かないと、日本は再興できないかもしれない」

 

私に本音を漏らしてくれる取材先の人たちの言葉です。中央省庁、永田町、金融当局、大手銀行の人たち。彼らは、いみじくも、共通した発言を漏らしています。多少、自虐的な気分も入っているのでしょうが、日本の状況が進展しないことへの焦りと閉塞感がにじみ出ています。

 

しかし、国がいったん財政破綻したら、取り返しがつかなくなるのではないでしょうか。日本が財政破綻という2度目の“敗戦”を喫したら、アメリカの“日本支配”は強まるでしょう。中国の影響力も強まるかもしれない。

 

日本人の「自由」が奪われてしまうことだけは、何としてでも避けたい。だから、財政が破綻する前に、しっかり自考して、日本の凋落の流れを反転させなくてはならないのです。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

 

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本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自考

自考

岡田 豊

プレジデント社

アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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