ダラスを本拠とする世界最大(2019年の収益に基づく)の事業用不動産サービス会社、シービーアールイー株式会社(CBRE)。同社の「ジャパンリテールマーケットビュー 2021年第2四半期」より一部抜粋し、コロナ禍の主要都市のリテール市場について見ていきます。
関西:京都
■ハイストリートからセカンダリーへコスト削減による移転
ハイストリートの四条通にある募集物件では、高級ブランドからの引き合いがみられた。賃料は従前のテナントと変わらない可能性がある。別の募集物件では、既存テナントが現行賃料から15%程度上乗せして再契約した事例があった。
一方、四条通に出店していた複数のテナントが、コスト削減のためセカンダリーエリアに移転する事例もあった。賃料は現行の3~4割程度の金額に抑えられる模様。後継テナントとしては、四条エリアに路面店舗がないファッションブランドや、既にエリア内に路面店舗を持つリテーラーが別業態での出店を検討している。
また、業績不振の既存テナントが撤退した物件のなかには、テナント募集を先延ばしにするという戦略をとったところがある。現在は賃料水準が下落しているため、テナント募集時期として適切ではないと判断した。京都ハイストリート賃料は、対前期比2.2%下落の6.65万円となった。セカンダリーエリアでも、既存テナントの撤退に伴い募集物件が散見されている。
関西:神戸
■好立地でもリテーラーの引き合いは弱い
ハイストリートの三宮センター街や大丸神戸店に近い複数の物件では、リテーラーの引き合いに弱さがみられている。好立地ではあるものの、比較的面積が大きく賃料総額が高額になることが主因。一方、面積が比較的小さく賃料総額を抑えられる物件では、複数のリテーラーが出店を決めた事例があった。賃料相場は下落傾向にあり、今期の神戸のハイストリート賃料は対前期比5.7%下落の7.40万円(月/坪)。
セカンダリーエリアの三宮中央通りにある募集物件では、食物販が申込みをした事例があった。空室が長期化している旧居留地の募集物件では、コスト削減によるエリア内移転の出店ニーズがみられた。
今期は阪急神戸三宮駅直結の商業施設「EKIZO神戸三宮」が開業した。駅高架下や歩道も整備され、飲食店テラス席も設けられた。三宮駅北側、サンキタ通りのイメージが刷新され、来訪者増加による新たな賑わいの創出が期待される。
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シービーアールイー株式会社(CBRE)
リサーチ
ディレクター
CBRE日本法人は、不動産賃貸・売買仲介サービスにとどまらず、各種アドバイザリー機能やプロパティマネジメント、不動産鑑定評価などの17の幅広いサービスラインを全国規模で展開する法人向け不動産のトータル・ソリューション・プロバイダーです。CBREの前身となった生駒商事が1970年に設立されて以来、約半世紀に亘り、日本における不動産の専門家として、全国10拠点で地域に根ざしたサービスを展開してきました。
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CBREグループ(NYSE:CBG)は、「フォーチュン500」や「S&P500」にランクされ、ダラスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社です(2021年の売上ベース)。全世界で105,000人を超える従業員(ターナー&タウンゼントの従業員を除く)が、100カ国以上でクライアントに対し、幅広いサービスを提供しています。不動産売買・賃貸借の取引業務、プロパティマネジメント、ファシリティマネジメント、プロジェクトマネジメント、事業用不動産ローン、不動産鑑定評価、不動産開発サービス、不動産投資マネジメント、戦略的コンサルティングを主要業務としています。
2007年シービーアールイー入社。投資家や一般事業会社所有の不動産に対して、有効活用を提案するコンサルティング業務に従事。2010年リサーチに異動。グローバルならびにAPACレポートの日本パート作成に携わり、海外クライアントに対して日本のオフィス、物流施設、商業施設の賃貸市場に関する情報を発信。2014年から商業施設の賃貸市場に特化し、各種レポートの執筆とともに国内外のクライアントに対してマーケットの考察を提供している。グラスゴー大学院社会科学部、早稲田大学経営管理研究科卒業。
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