「もう、私たちのことはいないものと思ってください」年金24万円・70代夫婦が動転した、娘夫婦からの最後の一行…40年続けた“過干渉”の末路。水入らずの夕食での「どこで間違えたのか」という問い【FPが解説】

「もう、私たちのことはいないものと思ってください」年金24万円・70代夫婦が動転した、娘夫婦からの最後の一行…40年続けた“過干渉”の末路。水入らずの夕食での「どこで間違えたのか」という問い【FPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローンを完済し、貯蓄も十分。老後の資金計画は完璧だったはずのAさん夫婦。しかし、どれだけお金があっても埋められないのが「心の断絶」です。「家族なんだから」という言葉で娘の生活に踏み込み続けた結果、突きつけられたのはSNSのブロックと、引っ越し先不明の現実でした。核家族化が進み、家族の在り方が激変するなかで、私たちはどのように価値観を変えるべきなのか。終の棲家で自問自答を続ける夫婦の姿から、社会保険労務士法人エニシアFP共同代表の三藤桂子氏が、現代の家族の在り方を紐解いていきます。※事例はプライバシー保護のため、一部脚色しています。

厳格すぎる「箱入り娘」への教育

Aさん夫婦は、65歳から年金生活に入って現在70代です。

 

昭和20年代に生まれたAさんは、高度経済成長のうねりのなかで多感な時期を過ごし、昭和39年の東京オリンピックの熱狂を肌で感じてきました。大正生まれの両親は、戦争という激動の時代を生き抜いた人です。三世代同居が当たり前だった当時、厳格な両親からの「親を敬い、高齢になったら子が世話をする」という教えは、疑う余地のない絶対的な正義でした。

 

そんなAさんに一人娘が生まれたとき、その教育方針は自ずと「過干渉」なものになっていきます。「女の子だから、外泊なんてとんでもない」「門限は17時、アルバイトも禁止」。Aさんは「娘を守るため」という一心で、文字どおり娘を箱入りにして育てました。

 

娘が高校を卒業後に、地方銀行へ入行してからも、その干渉は続きます。働いていようと、門限は夜9時。娘はそんな両親の考えに黙って従ってきました。しかし、次第に娘は「このままでは結婚すらできないのでは」と、不安が芽生えます。結局、上司の薦めで、同じ銀行に勤めていた人とお見合いに近い形で結婚が決まったのは、入行5年目のころ。Aさんは「良妻賢母になるように」と諭し、いわゆる寿退社を娘に選択させました。

安泰な老後資金と、ふくらむ「同居」への期待

娘は結婚後、実家と同じ県内の車で30分ほど離れた市に新居を構えました。しかし、物理的な距離ができてもAさんらの干渉は止まりません。毎日のように近況を尋ね、娘婿の収入から休日の予定まで、事細かに聞き出そうとします。返信が少しでも遅れようものなら、心配を口実に自宅へ押し掛けることもしばしばでした。

 

一方で、Aさん夫婦の老後資金は、現役時代の地道な努力の甲斐あって安泰です。60歳での定年後、再雇用で65歳まで働きました。65歳からの年金はAさんが年額205万円、妻が85万円あり、夫婦で290万円(月額24.2万円)です。Aさんは高卒で働きはじめたため給与の上昇は緩やかでしたが、その分勤続年数が長く、夫婦は年金だけで日常生活を賄うことができています。住宅ローンも完済し、退職金は1,000万円と、大卒の人に比べて少なめですが、貯金と合わせて2,000万円あります。

 

金銭的な不安が少ないAさんの老後の楽しみは、もうすぐ生まれてくる初孫の誕生でした。Aさんの娘は、結婚自体は早かったものの、子どもに恵まれたのは遅め。初孫の妊娠を機に期待が膨らみます。「自分たちも高齢になり、娘の家まで行くのが大変になる」「将来、自分たちが動けなくなったときの世話も考えてもらいたい」。そう考えたAさんは、娘にはっきりと伝えました。

 

「初孫の誕生を機に、同居するか、私たちの家の近くに引っ越してきなさい。家族で支え合うのが当然だろう?」

 

ところが、その言葉を聞いた娘は、いつもの従順な態度はどこへやら、怪訝そうな面持ちで「夫に相談してみる」とポツリと答えるだけでした。

 

 

 

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