(※写真はイメージです/PIXTA)

ダラスを本拠とする世界最大(2019年の収益に基づく)の事業用不動産サービス会社、シービーアールイー株式会社(CBRE)。同社の「ジャパンリテールマーケットビュー 2021年第2四半期」より一部抜粋し、コロナ禍の主要都市のリテール市場について見ていきます。

関西:心斎橋

■エリア内での移転ニーズが増加、空室を埋める

ハイストリートの御堂筋にある募集物件では、移転ニーズがあったラグジュアリーブランドが申し込みをした事例があった。同じく御堂筋にある募集物件では、既存店舗の改修工事に伴う短期移転のニーズがあったラグジュアリーブランドが、出店の交渉をしている事例があった。

 

御堂筋では、心斎橋エリアに路面店舗がないラグジュアリーブランドによる出店ニーズもみられている。また、長堀通以北の御堂筋にある募集物件では、高級外車ブランドの出店が内定した事例があった。成約賃料は、現在の相場並みのオーナー希望賃料と同額だった模様。

 

ハイストリートの心斎橋筋商店街にある募集物件では、心斎橋エリア内で移転ニーズがあったファッションブランドが申し込みを入れた事例があった。比較的面積は大きいものの、オーナーが賃料水準を引き下げたことで既存店舗よりも賃料を低く抑えられることが決め手となった。

 

このように、移転によって賃料総額を低く抑えられる物件に対しては、複数の引き合いがある。また、心斎橋筋商店街に出店していたスニーカーブランドが、同じ商店街にある視認性の高い物件に立地改善の移転をした事例があった。心斎橋筋商店街では、募集物件が増加している。そのため、オーナーの中には賃料水準を引き下げる動きのほか、コロナ禍の収束までリーシング活動を見合わせるといった動きもみられている。

 

セカンダリーエリアでも、募集物件が増加している。賃貸条件に柔軟な姿勢をみせるオーナーがみられる一方、 インバウンド需要の消滅などを背景にリテーラーの出店ニーズは総じて弱い。賃料水準を下げてもリテーラーの引き合いが弱い物件が複数みられている。

関西:梅田

■エステやチェーンストアの出店ニーズあるも需要は弱含み

美容整形や審美歯科、エステ、シェアサロンなどの出店ニーズがみられた。上層階への出店が多くを占めているものの、路面店舗を検討しているところもあった。また、飲食店舗の撤退が散見されるなか、複数のレストランチェーンが梅田エリアへの出店を検討している事例があった。好立地の空室が多い現況を好機とみているようだ。

 

さらに、既に商業施設内に店舗を持つリテーラーが、エリア内で2店舗の出店を検討する事例もあった。ただし、梅田エリアへのリテーラーの出店ニーズは弱含んでおり、梅田ハイストリート賃料は対前期比10.6%下落の11.35万円となった。

 

大阪駅以南のセカンダリーエリアでは、業績不振によるスーパーマーケット退去跡に、コンビニエンスストアからの引き合いがみられた。ただし、複数のコンビニエンスストアが競合するといった状況にまでは至っていない。リモートワークの定着などによって売り上げを落としているため、コンビニエンスストアの出店ニーズもコロナ禍前に比べて弱まっている。

 

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