(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親との同居は、家族にとって安心につながる一方、日々の負担や感情のすれ違いが積み重なることもあります。介護が必要な状態ではなくても、通院の付き添い、家事の補助、話し相手、金銭面の支援など、同居する子どもに負担が集中するケースは少なくありません。親を思う気持ちがあるほど、「つらい」と言い出せないまま、限界を迎えることがあります。

「母を一人にできない」…52歳娘の限界

東京都内で会社員として働く真理さん(仮名・52歳)は、76歳の母・和子さん(仮名)と10年以上同居してきました。

 

和子さんは夫を亡くした後、月14万円ほどの年金で暮らしていました。古くなった実家で一人暮らしを続けるには不安があり、真理さんが母を自宅に呼び寄せたのです。

 

「母のためだと思っていました。一人にしておくより、そばにいたほうが安心だろうと」

 

真理さんの月収は約42万円。独身で、仕事は管理職。経済的には母を支えられないわけではありませんでした。

 

同居当初、和子さんは家事を手伝い、真理さんも「親子で助け合える」と感じていました。しかし、数年が経つうちに、生活の主導権は少しずつ母に傾いていきます。

 

「今日は何時に帰るの?」

「外出の予定があるなら早く言って」

「その服、派手じゃない?」

 

些細な言葉でした。けれど毎日続くと、真理さんは自宅にいても休めなくなっていきました。

 

「母に悪気がないのは分かっていました。でも、ずっと見られているような感覚がありました」

 

さらに、年齢とともに和子さんの不安は強くなっていきました。真理さんが残業で遅くなると、何度も電話が入ります。休日に友人と出かけると、帰宅後に不機嫌になることもありました。

 

「私はもう52歳なのに、まだ子どものように扱われている気がしました」

 

総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は月14万8,445円、可処分所得は月11万8,465円で、平均では毎月赤字となっています。和子さんの年金月14万円は平均的な消費支出に近く、医療費や住居関連費を考えると、真理さんの援助が家計を支えている面もありました。

 

それでも真理さんが苦しかったのは、お金よりも「逃げ場のなさ」でした。

 

「一緒にいるのがつらい」

 

そう自覚したとき、真理さんは自分を責めたといいます。

 

 \6月16日(火)開催/
「相続税の税務調査」

調査対象に選ばれる人・選ばれない人

次ページ「見捨てるわけではない」…親子関係を守るための別居

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧