「来なくていい」と突き放した日
美津子さん(仮名・72歳)は、数年前に夫を亡くし、現在は都内の団地で一人暮らしをしています。遺族年金を合わせた月々の収入は約14万円。慎ましく暮らしていましたが、物価高も相まって財布の紐は固くなっていました。
そんな美津子さんにとって、車で30分ほどの距離に住む長女と、5歳と3歳の孫たちの来訪は、密かな悩みでした。
目に入れても痛くないほど可愛い孫です。「おばあちゃん!」と駆け寄ってくれば嬉しい。ですが、隔週ペースでやってくる彼らをもてなすのは、70代の体には重労働でした。
走り回る孫の相手をした後の疲労感、外食代やお小遣い、誕生日のお祝い……。「良いおばあちゃん」を全うしようとするたび、月数万円の出費が重なります。
貯金は1,500万円。長生きする可能性を考えれば、決して余裕はありません。
「このままでは、私の老後資金が底をついてしまう」
ある日、長女から「今週末も行くね」と連絡が来た際、ついに本音が漏れてしまいました。
「また? そんなに頻繁に来なくていいのに。体力が持たないし、お金だって余裕があるわけじゃないんだから。私、すごく疲れちゃったわ」

