返信がこない…息子が感じた小さな違和感
会社員として働く剛さん(仮名・47歳)は、一人暮らしをする母・和子さん(仮名・75歳)と、毎日LINEでやり取りをしていました。
父は数年前に他界。以来、和子さんは築40年ほどの実家で一人暮らしを続けていました。
「頻繁に会うわけではないですが、LINEは毎日来ていました。“今日は寒いね”とか、“近所の桜が咲いていた”とか、本当に何気ない内容です」
その日届いたメッセージも、いつもと変わらないものでした。
《今日は暖かいね》
短い一文でしたが、剛さんは特に気に留めませんでした。
ところが、その後、既読がつかなくなります。夜になっても返信はなく、電話をかけても出ません。
「最初は寝ているのかなと思ったんです。でも、母はかなり几帳面な人で、折り返しがないことなんてほとんどなかった」
翌朝になっても状況は変わりませんでした。不安を覚えた剛さんは、仕事を休み、急いで実家へ向かいます。
「嫌な予感はしていました。でも、“まさか”という気持ちもありました」
内閣府『令和7年版 高齢社会白書』によると、高齢者の単独世帯は増加傾向にあり、75歳以上の一人暮らしも珍しくなくなっています。家族との接点が限られることで、異変の発見が遅れるケースも課題となっています。
実家に到着した剛さんは、異様な静けさを感じたといいます。チャイムを鳴らしても反応はありません。
鍵を開けて中へ入ると、居間の暖房はついたまま。テーブルの上には、飲みかけの湯呑みと、開いたままの新聞が置かれていました。
そして、その奥で剛さんが目にしたのは、床に座り込んだまま動けなくなっている母の姿でした。
「一瞬、頭が真っ白になりました」
