中小企業経営者の多くが連帯保証しているだけに・・・
日本の中小企業の経営者の多くは、自らが経営する会社の債務について連帯保証し、さらに自宅に抵当権を設定しているのが一般的です。
そのため、本事例や前回紹介した事例のように、会社が破綻の危機にひんしている中で、経営者が亡くなった場合、会社の破綻処理の問題と債務の相続の問題が複雑に絡み合うことになります。
具体的に言えば、
「会社の破綻処理として破産を選ぶのか、特別清算を選ぶのか」
「単純承認して債務を相続するのか、それとも放棄して相続しないのか」
「また相続した場合、どのようにして債務を支払っていくのか」
などなど・・・。さらには、法人税や相続税など税務上の問題もかかわってきます。
しかも、会社経営に関与してきたのは被相続人だけであり、妻や子どもら相続人は全くノータッチだったというような場合には、会社経営のことなど何もわからない、いわばずぶの素人が事業を承継することを強いられ、このような厄介極まりない問題に取り組まなければならなくなるのです。
できるだけ早く「弁護士」の協力を得る
そのうえ、問題の解決にあたっては、前回紹介したように、「株主権を行使すれば相続放棄ができなくなる」可能性があるなど、法的な知識を踏まえて細心の注意を払う必要があります。万が一処理を誤れば、最悪の場合、会社はおろか相続人までも破産を余儀なくされる危険性もあるのです。
このように、会社の破綻処理と債務の相続問題が絡み合っている場合には、個人あるいは会社が全くの独力で、それを解決することは大変困難であり、失敗したときのリスクは途方もなく大きいと言えます。
したがって、取り返しがつかない状況になるのを防ぐためにも、このような問題に直面した場合には、できるだけ早く弁護士の協力を得ることを強くお勧めします。