(写真はイメージです/PIXTA)

訪日外国人の数が急速に回復し、2024年にはコロナ禍前を上回る水準に達しました。また、訪日客の増加率を上回るペースで消費額も拡大し、1人当たりの支出額も過去最高水準に。円安や低いインフレ率が影響し、日本旅行の「割安感」が消費を後押ししているようです。訪日外国人の動向はどのように変化しているのでしょうか。国籍別の消費パターンとともに、その特徴をみていきましょう。本稿では、ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏が詳しく解説します。

訪日外客数、7-9月期は首位に中国が復活

訪日外客*数は、2023年10月以降、コロナ禍前を上回る勢いで増加傾向が続いている[図表1]。最新の統計である2024年12月には月間348万9,800人(推計値)にのぼり、これは2019年同月の273万4,115人と比較して+27.6%増加している[図表1]。

*訪日外客とは、外国人正規入国者から日本を主たる居住国とする永住者等の外国人を除き、外国人一時上陸客等を加えた入国外国人旅行者のこと。駐在員やその家族、留学生等の入国者・再入国者は訪日外客に含まれる。

 

(資料)日本政府観光局「訪日外客統計」より作成
[図表1]月別訪日外客数の推移 (資料)日本政府観光局「訪日外客統計」より作成

 

国籍・地域別に見ると、コロナ禍前の2019年10-12月期(746万4,229人)において、最も多かったのは中国(29.4%)で、次いで台湾(15.5%)、韓国(8.7%)、香港(8.4%)、タイおよび米国(6.0%)が続き、東アジア諸国が全体の約6割を占めていた[図表2]。

 

(資料)日本政府観光局「訪日外客統計」より作成
[図表2]国籍・地域別訪日外客数 (資料)日本政府観光局「訪日外客統計」より作成

 

一方、新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられた後の2023年10-12月期(769万1,628人、2019年同期比+22万7,399人、増加率+18.1%)では、韓国(26.8%、全体に占める割合+18.1%pt)が最も多く、次いで台湾(16.0%、同+0.5%pt)、中国(10.8%、同▲18.6%pt)、香港(8.2%、同▲0.2%pt)、米国(7.5%、同+1.5%pt)と続き、東アジア諸国で全体の約6割を占めることは変わらないが、中国の比率が大幅に低下する一方で、他の上位国の比率はおおむね伸びていた。

 

さらに、最新の2024年10-12月期(998万8,993人、2019年同期比+229万7,365人、増加率+33.8%)では、同様に最多が韓国(23.5%、同+14.8%pt)に戻り、次いで中国(17.4%、同▲12.0%pt)、台湾(14.6%、同▲0.9%pt)、米国(7.7%、同+1.7%pt)、香港(7.1%、同▲1.3%pt)と続いている。2024年7-9月期では、インバウンドの再開以降で初めて中国が首位に返り咲いていたが(全体に占める割合は23.9%)、今期は韓国が中国を再び上回っている。

 

また、訪日外客数の上位国を中心に、2019年10-12月期に対する2024年同期の増減率を見ると、韓国は実に261.2%増加し、3.6倍に達している。この大幅な増加は、対比となる2019年同期が、日本政府による半導体の輸出管理強化によって反日感情が高まり、訪日客数が大幅に減少した時期であるためだ。

 

なお、米国(2019年同期比+71.1%)や豪州(同64.0%)も2倍弱に増え、台湾(同+26.4%)や香港(同+13.0%)の増加も目立つ。一方で中国からの訪日外客数は依然として大幅に減少した状況にあるものの(同▲20.9%)、回復傾向にはあり、2019年同期と比べた増減率は2023年4-6月期▲80.9%→同年7-9月期▲65.0%→同年10-12月期▲62.3%→2024年1-3月期▲38.8%→同年4-6月期▲26.4%→同年7-9月期▲24.2%→今期▲20.9%と推移している。

 

なお、中国からの訪日客数の減少分(▲45万8,397人)は、韓国の増加分(+169万8,785人)でカバーされて余りある状況にある。

 

また、2024年10-12月期の時点では、コロナ禍前の外客数を下回っている国もあるものの、いずれも2023年と比較すれば増加傾向にある。その背景には、前稿までに述べてきたように、円安や他国と比べて低いインフレ率により、日本旅行の割安感が依然として続いていることが影響している。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年2月6日に公開したレポートを転載したものです。

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