(写真はイメージです/PIXTA)

昨年10月以降の中国経済は、不動産市場に僅かながら改善の兆しが見え始めたものの、デフレ懸念が未だ根強く残ります。米トランプ政権の本格始動による対中対策の影響と、中国国内の経済対策の効果がどのように表れるかに注目されています。本稿では、ニッセイ基礎研究所の三浦祐介氏が、2024年10~12月の中国経済について詳しく解説します。

2024年10~12月のGDPの評価

中国国家統計局が2025年1月17日に発表した24年10~12月期の実質GDP成長率は、前年同期比+5.4%と、前期(24年7~9月期)の同+4.6%から加速(図表1)し、季節調整後の前期比(年率)も、+6.6%と前期の+5.3%から加速した。2024年通年では前年比+5.0%となり、「+5.0%前後」の成長率目標は達成された。

 

前年同期比成長率の需要項目別寄与度をみると、最終消費が+1.6%pt(前期+1.4%pt)、総資本形成が+1.3%pt(同+1.2%pt)、純輸出が+2.5%pt(同+2.1%pt)であった(図表2)。純輸出に関しては、輸出が加速した一方、輸入が減少したことで、大きく改善した。内需に関しては、経済対策の下支えを受けた改善であり、自律的な回復力はまだ弱い。

 

 

 

産業別の実質GDP成長率をみると、第1次産業は前年同期比+3.7%(前期同+3.2%)、第2次産業は同+5.2%(前期同+4.6%)、第3次産業は同+5.8%(前期同+4.8%)となった(図表3)。情報通信・ソフトウェア・ITを除き、製造業を中心に多くの業種で加速した。前期まで6四半期連続でマイナスとなっていた不動産業の成長率は、プラスに転じた。

 

不動産市場に僅かながら改善の兆しが見え始めた点は明るい材料だが、GDPデフレーターは、7四半期連続で前年同期比マイナスとなっており(図表4)、デフレ懸念は根強い。中国経済は依然不安定な状況にあるといえよう。今後は、本格始動する米トランプ政権による対中政策の影響と、中国国内の経済対策の効果がどのように表れるかが注目点となる。

 

 

 

注目のセミナー情報

【資産運用】4月12日(土)開催
毎年8%以上の値上がり実績と実物資産の安心感
「アーガイル産ピンクダイヤモンド投資」の魅力

 

​​【資産運用】4月16日(水)開催
富裕層のための資産戦略・完全版!
「相続」「介護」対策まで徹底網羅
生涯キャッシュフローを最大化する方法

次ページ実体経済の動向

※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年1月29日に公開したレポートを転載したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録