モノ消費が旺盛な傾向に
ここで、改めてインバウンド消費全体に大きな影響を与える訪日中国人観光客の消費内訳を見ると、コロナ禍前の2019年には「買い物代」が52.9%と過半数を占めていた[図表9]。
2022年以降は調査時期によって「買い物代」の割合にばらつきが見られるが、これは中国政府による日本旅行規制の影響(日本行き海外旅行商品の販売中止措置や年収による観光ビザの発給制限など)によるものと考えられ、従来の訪日客とは異なる属性が見られる時期もあったためである。それでも、「買い物代」は4割前後で推移しており、インバウンド全体と比較するとモノを購入する志向が依然として高い様子がうかがえる。
東南アジアはモノ消費、欧米諸国はコト(サービス)消費
2024年の訪日外国人旅行消費額の内訳を国籍・地域に見ると、アジア諸国ではモノ消費が、欧米諸国ではコト消費が多い傾向が見られる[図表10]。
モノ消費の割合が最も高いのは中国(43.0%)で、次いで台湾〈36.6%〉、香港(35.8%)、フィリピン(33.3%)、タイ(31.3%)までが3割台で全体平均を上回っており、いずれも「買い物代」の割合が他の費目を上回って最も高くなっている。
一方、コト消費(「宿泊費」「飲食費」「交通費」「娯楽サービス費」)の割合が最も高いのはドイツ(86.6%)で、次いでイタリア(86.6%)、英国(85.3%)、スペインおよびオーストラリア(85.0%)といずれも85%を超えている。なお、コト消費のうち、「宿泊費」の割合はドイツ(45.4%)で高く、「飲食費」は韓国(27.1%)で、「交通費」はスペイン(18.4%)やイタリア(18.2%)で、「娯楽サービス費」はオーストラリア(7.9%)で多い傾向がある。


