(写真はイメージです/PIXTA)

訪日外国人の数が急速に回復し、2024年にはコロナ禍前を上回る水準に達しました。また、訪日客の増加率を上回るペースで消費額も拡大し、1人当たりの支出額も過去最高水準に。円安や低いインフレ率が影響し、日本旅行の「割安感」が消費を後押ししているようです。訪日外国人の動向はどのように変化しているのでしょうか。国籍別の消費パターンとともに、その特徴をみていきましょう。本稿では、ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏が詳しく解説します。

世界の物価動向と日本のCPI:欧米との格差が拡大

一方、ユーロやオーストラリアドルなどは通貨高の傾向を示している。また、各国の消費者物価指数(CPI)を見ると、総じて上昇傾向にあるものの、2024年12月時点では日本のCPI上昇率2019年と比較して約10%にとどまっており[図表5]、20%以上の上昇が見られる欧米と比べ、大きな差が生じている。

 

(資料)World Bank「Global Economic Monitor」より作成
[図表5]各国の消費者物価指数の推移 (資料)World Bank「Global Economic Monitor」より作成

 

国籍・地域別に見ると、2019年10-12月期の訪日外国人旅行消費額の内訳では、中国(32.1%)が圧倒的に多く、次いで台湾(10.1%)、香港(7.9%)、米国(7.2%)、韓国(4.6%)が続き、東アジア諸国が全体の過半数を占めていた[図表6]。

 

(資料)観光庁「インバウンド消費動向調査」より作成
[図表6]国籍・地域別訪日外国人旅行消費額 (資料)観光庁「インバウンド消費動向調査」より作成

 

一方、2023年10-12月期では、首位は台湾(14.1%、2019年同期比+4.1%)で、僅差で中国(13.8%、同▲18.3%pt)が続き、その割合は2019年同期と比較して半分以下に減少している。これらに次いで韓国(12.4%、同+7.8%pt)、米国(11.2%、同+4.0%pt)、香港(8.6%、同+0.7%pt)が続いており、中国の比率の低下により他の上位国の比率が伸びていた。

 

さらに、最新の2024年10-12月期では、中国(18.9%、同▲13.2%pt)が再び最多となり、次いで台湾(12.9%、同+2.8%pt)、米国(11.6%、同+4.4%pt)、韓国(11.4%、同+6.8%pt)、香港(7.0%、同▲0.9%pt)と続いている。

 

また、消費額の上位国を中心に、2019年10-12月期に対する2024年同期の増減率を見ると、韓国(+378.1%)は約5倍、米国(+205.2%)は約3倍、台湾(143.0%)や豪州(+132.9%)は1.5倍近くに大幅に増加している。いずれも消費額の増減率が外客数の増減率をはるかに上回っており、各国で訪日客1人当たりの消費が増加していることが分かる。なお、中国からの訪日は回復途上にあるものの、2024年10-12月期の消費額は2019年同期を約1割上回っている(+12.3%)。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年2月6日に公開したレポートを転載したものです。

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