(写真はイメージです/PIXTA)

訪日外国人の数が急速に回復し、2024年にはコロナ禍前を上回る水準に達しました。また、訪日客の増加率を上回るペースで消費額も拡大し、1人当たりの支出額も過去最高水準に。円安や低いインフレ率が影響し、日本旅行の「割安感」が消費を後押ししているようです。訪日外国人の動向はどのように変化しているのでしょうか。国籍別の消費パターンとともに、その特徴をみていきましょう。本稿では、ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏が詳しく解説します。

円安効果で消費額が2倍を超える国が多数

訪日外国人旅行消費額は、2023年7-9月期以降はコロナ禍前を上回る勢いで増加傾向が続いており、2024年4-6月期に四半期で初めて2兆円を突破した[図表3]。

 

(資料)観光庁「インバウンド消費動向調査」より作成
[図表3]四半期別訪日外国人旅行消費額の推移 (資料)観光庁「インバウンド消費動向調査」より作成

 

最新の統計である2024年10-12月期は2兆3,108億円(一次速報)であり、2019年同期の1兆2,128億円と比べて約2倍に増加している(増加率+90.5%)。また、この消費額の増加率(+90.5%)は訪日外客数の増加率(+33.8%)を大きく上回っており、このことから訪日客1人当たりの消費額が増加していることが分かる。

 

一般客*1人当たりの消費額を見ると、2019年10-12月期では17万434円であったが、2023年同期には22万66円(2019年同期比+4万9,632円、増加率+29.1%)、2024年同期には23万7,002円(同+6万6,568円、増加率+30.2%)へと増加傾向にある。なお、2024年10-12月期の訪日客の平均宿泊日数は8.7日で、2019年同期(8.7日)や2023年同期(8.5日)と同様であるため、1人・1泊当たりの消費額が増えていることが分かる。

*訪日外客からクルーズ客の人数(法務省の船舶観光上陸許可数に基づき観光庁推計)を除いたもの

 

1人・1泊当たりの消費額を見ると、2019年10-12月期は2万51円であったが、2023年同期には2万5,295円(2019年同期+5,244円、増加率+26.2%)、2024年同期には2万7,241円(同+7,190円、増加率+28.4%)へと増加傾向にあり、現在では2019年同期と比べて約1.4倍に膨らんでいる。訪日客の消費額が増えている背景には、外客数の増加について述べた通り、円安および他国と比較した際の日本の低いインフレ率の影響が挙げられる。各国通貨の対米ドル為替レートの推移を見ると、2022年以降、日本円や韓国ウォンなどは通貨安の傾向にあり、特に日本円の下落が顕著である[図表4]。

 

(資料)IMF「Exchange Rates」より作成
[図表4]各国通貨の対米ドル為替レートの推移(2019年=100) (資料)IMF「Exchange Rates」より作成

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年2月6日に公開したレポートを転載したものです。

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