定年退職で「さん付け」になって不機嫌になる「偉そうな人」の末路 (※写真はイメージです/PIXTA)

「偉そう」で成功を収めているかのように見える人は確かにいます。しかし、彼らが豊かで愉快な人間関係を構築できているとは思えません。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『70歳からの老けない生き方』(リベラル社)で解説します。

「偉そうな人」は他人から好かれない

■「初心者」「素人」である自分を受け入れる

 

「自分をいつでも『素人』『初心者』と思えること」

 

人生の後半期を豊かなものにしたいと願うなら、忘れてはならないことです。そう簡単なことではないかもしれません。曲がりなりにも、社会人、家庭人として成果を積み上げてきた年代にとっては、自分のキャリアに対する自負をいったん脇に置かなければならないからです。

 

そのためには「謙虚」とか「誠実」というスタンスが必要になりますが、これがなかなか難しい。頭ではわかっていても、です。特に現役時代に会社の利益に大きく貢献したり、それなりの地位についていたり、名声を得たりした人にとっては、ちょっとハードルの高さを感じるかもしれません。

 

長年「社長」「部長」と呼ばれ続けた人が「××さん」と呼ばれることに甘んじなければならないのですから……。

 

しかし、新しいステージでの充実した人生の展開を望むなら、それを楽しむくらいの気持ちが必要です。「先生といわれるほどの馬鹿でなし」ならぬ「社長、部長といわれるほどの馬鹿でなし」の気概で「さん付け」を楽しめばいいのです。会社の人間関係と縁が切れて変なしがらみは一掃できる、気楽になったと喜びましょう。

 

かくいう私も「先生」と呼ばれる機会は多いのですが、それは私が生業にしている世界の慣習なのであえて「やめてくれ」とは言いません。言えばかえって波風を立てることになりかねませんから受け入れていますが、「和田さん」と呼ばれたとしても、私はけっして不快な気分にはなったりはしません。

 

実際、映画監督協会の会合などではみなさんから「和田さん」と呼ばれていますし、映画監督としてのキャリアから考えれば当然のことです。

 

私自身、映画作りに情熱を燃やし、これまでも劇場公開された映画の監督を5本手がけました。そのため、日本映画監督協会の一員ですが、錚々たるメンバーの中では、いわば末席の身です。協会のイベントなどでは裏方仕事もやりますが、私は楽しくて仕方ありません。

 

テレビ番組などでも、直接的な師弟関係でもないのに、だれかれかまわず呼び捨てにしたり、君付けをしたがったりする人がいますが、見ていて愉快なものではありません。

 

賢い人は、わけもなく君付けにされても、軽く受け流しています。そうした関係を見ていると感じるのですが、「偉そうな人」は賢い人ばかりか多くの人から疎まれる存在になっていきます。いい人間関係が損なわれ、さまざまな情報収集の機会も閉ざされてしまいます。その結果、誰からも相手にされなくなったり、ときには大きな過ちを犯したりすることになってしまいます。

 

「偉そうな人」はいろいろな世界にいますが、他人から好かれることはまずありません。

 

そうした人のセカンドステージは寂しいものです。

 

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    ルネクリニック東京院 院長

    1960年生まれ。
    東京大学医学部卒業。
    東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカカール・メニンガー精神医学学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院の精神科を経て、現在、ルネクリニック東京院院長。
    30年以上にわたって高齢者専門の精神科医として高齢者医療の現場に携わる。
    『自分が高齢になるということ』(新講社)、『年代別医学に正しい生き方 人生の未来予想図』(講談社)、『六十代と七十代 心と体の整え方』(バジリコ)、『「人生100年」老年格差』(詩想社)『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『80歳の壁』(幻冬舎)など著書多数。

    著者紹介

    連載70歳から充実したセカンドライフを過ごす方法

    ※本連載は和田秀樹氏の著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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    マキノ出版

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