コロナ禍で落ち込んでいた訪日外国人の数でしたが、今年上半期の訪日客は累計で1,777万7,200人に達し、上半期の過去最高を記録。円安の追い風もあり急激に回復しています。訪日外国人の増加に伴い、注目されているのが「戸建て民泊旅館業投資」です。不動産仲介業、旅館業・ホテルの企画、運営などを行う「カールトン株式会社」代表取締役の位田祐希(いんでんゆうき)氏と、都内に民泊物件を保有するオーナーの菅井敏之(すがいとしゆき)氏にお話を伺いました。

資本効率を上げる手段として民泊旅館業投資を選択

――まず、菅井さんが民泊旅館業投資を始められたきっかけを教えてください。

 

菅井敏之氏(以下、菅井):普段は首都圏を中心とした不動産賃貸業や、元銀行員というスキルを活かして「お金の専門家」として資産形成のアドバイスなどを仕事にしています。民泊旅館業投資を始めたきっかけは、資本効率を上げるため。今は保有物件の価格が上昇していて含み益がある状態ですが、純資産に見合った収益となっていないため、資本効率が悪いんです。そこで成長分野に再投資していこうと戸建て民泊旅館業投資を選択しました。

 

――なぜ戸建て民泊旅館業投資を選ばれたのでしょうか。

 

菅井:今はインバウンドが復活していますし、日本文化の深さ、コンテンツの豊富さ、治安の良さでリピーターが増えています。日本は観光立国を目指しており、民泊はその中のひとつの大きな柱になる可能性が高い。ただ、コミットしたくても宿泊客の募集や内装の作りこみ方、清掃業者の選び方などのノウハウがありません。そんな中でカールトンさんのFB広告に出会ったんです。

 

位田祐希氏(以下、位田)​:FB広告では参加条件に「自己資金が3,000万円以上必要」と記載していますが、毎月たくさんの方からセミナーの申し込みが来ています。セミナーでは営業はせずに事実だけをお伝えして、「いいな」と思っていただいた方に面談してもらいます。菅井さんは面談で開始早々に「やります」と言っていただけましたね。

 

菅井:やはり1人でできることは限られていますから。カールトンさんの場合、チームで動いており、清掃、不動産の仲介、リサーチ、運営の全てにおいて一流のスタッフを揃えているのが魅力的でした。特に民泊の場合、観光客はレビューを見て決めるので、運営能力が高いことは大きなポイントです。さらに、位田さん自身も戸建て民泊旅館業投資をしているのが大きかったですね。出されるデータに信頼感がありますから。

 

位田:初回の面談では、ほとんど全員が菅井さんのように即決してくださいます。やはりどの物件でも実利回り10%以上を出しているのが魅力なのかなと思います。

東京・四ツ木にある物件(カールトン株式会社提供)

 

――菅井さんは、ほかにどんなところに魅力を感じられましたか?

 

菅井:民泊は、私がいつも講演でお話する「投資の5原則」に当てはまります。ひとつは「公共性」。民泊も人の命を扱う事業なので、安心、安全、快適でなければいけません。次は「収益性」で、出口でもしっかり利益が取れることが大事。3つ目は「健全性」で、宿泊客が入ればもうかり、入らなければゼロと極めて健全です。4つ目は「成長性」。民泊は成長が見込めますし、10年スパンで見ても大きくは崩れないでしょう。最後は「流動性」です。もしパンデミックで観光客が来なくなっても、売却するという出口があります。また、都内の新築戸建て民泊はカテゴリー的にレアなので差別化ができるのも魅力ですね。

 

位田:都心で物件の提案から立ち上げ、運営代行まで行っているのは、おそらく当社のみですね。

 

菅井:民泊の最大のリスクは新規参入のプレーヤーが増えることだと思いますが、差別化のためにはキャラが立っていないといけませんので新築というのは重要です。

菅井敏之氏
菅井敏之氏

実利回り15%も視野に

――菅井さんが運営されている四つ木(東京都葛飾区)の戸建て民泊は、どのような物件なのでしょうか?

 

位田:4LDKの2階建てです。2階だと避難経路を作らなくて済み、リフォーム代がかさまないというメリットがあります。ただ、東京都にはゆとりのある2階建てを建てられる土地は少ないので、基本的には当社のオーナー様の物件は3階建てがほとんどですね。

 

菅井:駅からは徒歩10分以上かかりますが、裏に大型スーパーがあるのがいいですね。民泊に泊まる観光客の方々は最長で2カ月に及ぶほど長く滞在するので、外食ばかりでは飽きるんです。だから買い物ができるスーパーがあるのはアドバンテージですね。

 

また、成田から外国人観光客に人気のある浅草に行く動線上にあるのも競争力がありますし、葛飾区は戸建てが安く買えるのも魅力です。

 

位田:この物件は、宿泊費が3万5,000円なら実利回り10%が取れるというシミュレーションでご紹介したのですが、上振れで現在は1泊5、6万円になっています。このままいけば実利回りは13~14%、うまくいけば15%も見えてくるのではないでしょうか。

 

土地と建物の合計5,200万円ほどで、プラス家具・家電、当社へのコンサルフィーなどお支払いいただいて6,000万円強でスタートし、売り上げは年間1,500万円までいくのではないかと思います。

 

――宿泊客の物件への反応はいかがでしょうか?

 

位田:レビューがすごくいいですね。いいレビューは上位表示されますから、民泊ではレビューがとても大事なんです。今は4件のレビューがついており、全部星5つです。

 

菅井:来日される観光客の方にがっかりして帰ってほしくない、というのが民泊を運営するうえでの私の最大の動機です。落胆するような宿泊施設を提供して日本に対するイメージを悪くしたくない。民泊全体の傾向として、現在は古い家、安い家具を買ってもうけようという流れになっていますが、最低限のスペックで運営しても宿泊客は入らないでしょう。

位田祐希氏
位田祐希氏

「自分の投資が誰かの喜びに」戸建て民泊旅館業投資の魅力

――実際に民泊物件を保有されてみて、どのような感想を持ちましたか?

 

菅井:レビューが見られることがよいですね。不動産賃貸業では、管理会社から送られてくるレポートだけがフィードバックですが、民泊では1件ごとに感想が入るんです。それが、すごく新鮮で。ダイレクトに感謝のメッセージをいただけるのはうれしいですし、自分の投資が誰かの幸せや喜びになり、レビューとなって帰ってくると「やってよかった」と思います。

 

――感じているリスクはありますか?

 

菅井:やはり“水物”だとは思います。ですから、不動産賃貸業という安定した事業と、民泊というハイリスク・ハイリターンな事業の組み合わせがいいのではないでしょうか。もし民泊しか運営していなかったとしたら、枕を高くして寝られません(笑)。ハイリターンに引きずられて「全財産を処分してこれに賭ける!」という考えはやめたほうがいいのではと思います。

 

位田:そうですね。それは面談でも絶対に言うようにしています。

 

菅井:またいつパンデミックがいつ起こるかはわからないですからね。地震が来て「日本怖い」という印象が広まる可能性だってあるわけですから。ちゃんとリスクも許容できなければいけません。

キッズルームがある物件も(カールトン株式会社提供)
キッズルームがある物件も(カールトン株式会社提供)

リスクを許容したうえでチャレンジを

――最後に、民泊旅館業投資に関心を寄せている読者にメッセージをお願いします。

 

菅井:せっかくの開かれた事業チャンスなので、チャレンジできる人はリスクを踏まえた上でチャレンジしてみるといいのではないでしょうか。日本という国が魅力あるものとして世界的に認知されている状況で、安心安全、快適に過ごすための器を用意するというのは素晴らしいことだと思いますし、そこに関与できる楽しさがあります。リアルなリアクションをダイレクトに見られるのは、民泊ならではの魅力ですね。

 

位田:今後は清掃を内製化したり、自社のブランドを作ったりする戦略を考えています。そうした部分に価値を見出していただける方は、ぜひお待ちしております。

 

また、今は富士山ツアーがとても好評を博しているので、2、3年後までには自社企画のツアーや体験イベントも増やしたいですね。たとえば料理人を戸建てに派遣して、みんなで寿司を握る体験会を開催する等々。思い出に残るようなイベントを企画して大人数で日本に来ても、よい体験と滞在ができるブランドを作っていければと思っています。

 

 

※本インタビューは、2024年8月に収録したものです。
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