70代で「わからない」「教えて欲しい」と頭が下げられない「老害」の末路 (※写真はイメージです/PIXTA)

かつての地位の高さや特別なキャリアそのままに、「どこでも特権」を振りかざし、周りの人に対してとにかく横柄に振る舞う高齢者が意外に多いといいます。です。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『70歳からの老けない生き方』(リベラル社)で解説します。

「どこでも特権」の高齢者は周囲に疎まれる

■過去の特権はいつまでも通用しない

 

70代、80代にかぎりませんが、中高年以降、心しておいてほしいことがあります。

 

「使える人は誰でも使え」

 

このスピリットです。とにかく、いまの自分にできないことは、他人にやってもらうか、教えてもらうことです。もちろんそのためには、特に若い人に「やってあげたい」「教えてあげたい」と感じてもらわなければなりません。

 

「わからない」「教えてほしい」が言えない人にはある特徴があります。

 

「『自分が享受してきた過去の特権はあらゆるフィールドで行使できる』と思い込んでいる」

 

やや暴論気味に言えば「会社の外でも車のドアは誰かが開けてくれると信じてやまない社長」「子どもの保護者会の挨拶文も官僚が書いてくれると思っている大臣」といったメンタリティの持ち主と言ってもいいかもしれません。

 

私が勤務していた高齢者医療施設でも、こうした「どこでも特権」の高齢者がいました。かつての地位の高さや特別なキャリアそのままに、周りの人に対してとにかく横柄に振る舞うのです。当然、次第に周りからも疎まれる存在になりました。なによりも、そうした経歴とは裏腹に、見舞いに訪れる人の数は本当に寂しいものでした。

 

逆に、現役時代は特に高い地位、特別なキャリアもなかった高齢者で、周りの人に親しまれ、見舞い客が後を絶たない高齢者もいました。「自分が何者であったか」ではなく「いまの自分」を謙虚に誠実に生きている人です。

 

当然のことながら、後者は「わからない」「教えてほしい」を言える人であり、前者はそれが言えない人でした。

 

人生の終盤、どちらが幸福かは明白です。

 

■「枯れ老人」にならないために‥性ホルモン減退への対処

 

「手術でがんは完全に取れたと医者に言われたんだけど、術後のアッチが心配だったんだ」

 

ある文芸雑誌で、某有名作家が同じくがんを克服した作家との対談でそんなことを話していました。この作家のいう「アッチ」とはもちろんセックスのことです。

 

結果はどうだったかと言えば「おかげさまで、大丈夫で安心した」とのことでした。70代半ばのこの作家は見るからに精力的な風貌で、執筆活動においても風貌そのままに数々の長編大作を世に出している作家です。

 

また、あくまで推測の域を出ませんが、どういう形であれ、これまでの言動から女性とのお付き合いにはきわめて積極的であり、豊富であることがうかがえます。「クラブ活動」にも精力的で、滅多に夜の銀座に足を運ばない私ですが、何度かお見掛けしたことがあります。

 

70代半ばにして「大丈夫で安心した」という彼の言葉に、私自身、素晴らしいことだと感心しました。

 

あなたにオススメのセミナー

    ルネクリニック東京院 院長

    1960年生まれ。
    東京大学医学部卒業。
    東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカカール・メニンガー精神医学学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院の精神科を経て、現在、ルネクリニック東京院院長。
    30年以上にわたって高齢者専門の精神科医として高齢者医療の現場に携わる。
    『自分が高齢になるということ』(新講社)、『年代別医学に正しい生き方 人生の未来予想図』(講談社)、『六十代と七十代 心と体の整え方』(バジリコ)、『「人生100年」老年格差』(詩想社)『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『80歳の壁』(幻冬舎)など著書多数。

    著者紹介

    連載70歳から充実したセカンドライフを過ごす方法

    ※本連載は和田秀樹氏の著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

    70歳からの老けない生き方

    70歳からの老けない生き方

    和田 秀樹

    リベラル社

    定年前後の世代は、暮らし方によって老化の進み具合が大きく異なります。 加齢による心と体の老化への正しい知識をもち、ある程度受け入れながら適切な予防と対策をすることで、80代、90代になっても若々しく充実した生活が送…

    「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方

    「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方

    和田 秀樹

    日本能率協会マネジメントセンター

    今日、65歳は人生の大きな岐路に立つ年だと言って良いでしょう。 「働いたほうがいいのだろうか」 「暇になりそうだが、何をしたらいいのだろう」 「健康状態も不安だ」 こうした、さまざまな課題と向き合わなければならな…

    シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術

    シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術

    和田 秀樹

    マキノ出版

    老化による脳や体の衰えは避けられないもの。しかし「もう年だから」とあきらめることはありません!現代の710代は、老いと闘える最後の世代! 70代になったら薬で数値を下げたり、塩分や脂質の低い食事をションボリ食べる「…

    80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

    80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

    和田 秀樹

    廣済堂出版

    70代は人生の下り坂に差し掛かった時期。一気に滑り台のようにおりていくか、鼻歌でも歌いながら気長におりていくか……。80代、90代を迎える大事な時間である70代をいかに過ごすべきか。30年以上にわたり高齢者医療に携わって…

    アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉

    アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉

    和田 秀樹

    大和書房

    親の言葉かけが、子どもを東大へ行かせます。 罰しても子どもは勉強しません。なぜなら自分に価値があると思うときに子どもは勇気を持てるからです。アドラーは親子関係を対等なものと考え、子どもが人生の課題に取り組み、乗…

    東大医学部

    東大医学部

    和田 秀樹 鳥集 徹

    ブックマン社

    灘高→東大理Ⅲ→東大医学部卒。それは、日本の偏差値トップの子どもだけが許された、誰もがうらやむ超・エリートコースである。しかし、東大医学部卒の医師が、名医や素晴らしい研究者となり、成功した人生を歩むとは限らない…

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    登録していただいた方の中から
    毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
    TOPへ