(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の将来には依然、霧が立ち込め、不安が渦巻いています。なぜ後れを取っているのでしょうか。どうしたら、かつての輝きを取り戻すことができるのでしょうか。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)で解説します。

このままだと日本人は「40年、50年を失う」

日本といえば経済でした。敗戦後の高度成長期を経て、GDP(国内総生産)でアメリカに次ぐ世界第2位の地位を築きました。日本人の懸命の頑張りの成果でした。当時を支えた方々は、それを成し遂げた誇りを胸に秘めているでしょう。感謝したい気持ちでいっぱいです。

 

しかし、状況はがらりと変わりました。GDPでは日本は中国に抜かれ3位に。しかも、大差をつけられての3位です。

 

問題は将来です。成長する芽や展望や期待が持てるのかどうか。

 

残念ながら、日本の将来には依然、霧が立ち込め、不安が渦巻いています。このことを本気で自覚しなければなりません。なぜ後れを取っているのか。どうしたら、かつての輝きを取り戻せるのか。バブル経済の絶頂期を起点にしてバブル崩壊後、日本は「失われた30年」を迎えてしまいました。「日本の失われた30年」という言葉は責任回避の響きが残るので「日本人が失った30年」と言い換えます。

 

この間、日本は過去の成功体験にとらわれすぎて、自考してこなかったのではないでしょうか。過去は過去。あるのは現在と未来です。これから新たに輝ける可能性は十分あります。ただ、今のままでは難しい。このままでは、すぐに「40年、50年を失う」ことになるでしょう。

 

長い付き合いの大手銀行の知人と日本の行く末について話をしていた時のことです。

 

「日本はこのままだと途上国になっちゃうかもしれないね」と私が問いかけました。すると知人は次のように言いました。

 

「甘いです。このままだと後進国入りです」

 

まだ間に合うはずです。最大のカギは日本人の自考です。それぞれの人たちが、それぞれの持ち場で、いらぬ過去のやり方から抜け出し、新しいやり方を創るのです。大企業のトップや政治のトップに、当てにできない期待や依存をしてみても合理性を見いだせません。私たちそれぞれの自考は、日本人にとって最後の切り札になるでしょう。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

 

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本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す/不可能を可能にする/日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自考

自考

岡田 豊

プレジデント社

アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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