(※写真はイメージです/PIXTA)

2016年11月のアメリカ大統領選挙は共和党のトランプ氏が勝利しました。その年の選挙前、ニューヨーク・タイムズは早々に、民主党のヒラリー・クリントン氏を支持すると表明しました。なぜでしょうか。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)で解説します。

 

国家が情報リテラシー教育をする限界

③〔図書館(室)〕

大学と並んで地域の活動の核になりうるのが図書館です。学校の図書室も然りです。

 

アメリカでは、図書館が情報リテラシー教育の拠点となり、図書館司書が専門知識を伝えています。そもそも、図書館という存在は重要です。本を買う金がない人、インターネットを使うためのパソコンやスマホを買う余裕がない人が頼るのが図書館です。図書館は知識や情報をめぐる市民の格差を埋めてくれる存在です。

 

図書館司書などが地域や学校で定期的に講習会などを開き、情報リテラシーのノウハウや重要性を伝える機能を担うことができれば、効率的かつ効果的ではないでしょうか。

 

④〔新聞・テレビ・出版など大手メディア〕

大手メディアが、もっと本格的に情報リテラシーの意義やノウハウを社会と共有し、情報発信する動きがさらに広がれば、その効果は大きいと思います。

 

メディア自身が自らの報道を随時、自己検証することにもなり、質の高い報道への意識や責任感がさらに高まれば、ジャーナリズムの質向上につながるのではないでしょうか。

 

⑤〔特定非営利活動法人・地域コミュニティー〕

日本でも活動が始まっていますが、まだ本格的なうねりにはなっていません。各地で活発になり、全国的なネットワークが広がり、連携が強まれば、理想的な形になると思います。

 

⑥〔個人〕

情報リテラシーの普及は突き詰めるところ、市民それぞれの個人の自覚と覚悟に尽きるのではないでしょうか。情報の真偽を見極めたりして受ける利益や不利益は結局、その市民個人に帰するからです。情報の「受け手」であり、「出し手」でもある市民個人が自己責任において、あらゆる情報に対峙すると自覚しておくことが大切なのではないでしょうか。それは、市民ひとりひとりが、いわばジャーナリストになる自覚でもあります。

 

さらに、各主体や個人がネットワークを結び、社会の諸課題やリテラシーのあり方について自由に柔軟に議論し合える空間が生まれることが望ましいでしょう。単体の活動や一人の思考では、偏りが生じるかもしれないからです。

 

1990年代後半の金融危機の後、「金融リテラシー」の重要性が認識され、日本でも政府主導で金融教育の普及が進んでいます。

 

金融危機による国民負担やリスクの回避。金融商品の複雑化、高度化、多様化。消費者保護。貯蓄から投資への移行促進。こうした様々な目的や性格を帯びた金融教育は、金融庁だけではなく、文部科学省も取り組み、学校でも教えられています。

 

その基本的な理念のひとつが「自己責任」です。消費者保護は政府の役目もありますが、結局は、国民ひとりひとりが自己責任で金融に向き合わないと、対処し切れないということでしょう。金融機関や金融商品、行政をチェックするのも国民の役割になります。この金融リテラシー教育が情報リテラシー普及の参考になります。

 

ただし、国家が情報リテラシー教育をするのには限界があります。情報リテラシーには、国家権力を監視する能力が重要だからです。市民が監視すべき国家権力がそのノウハウを教えることには矛盾が生じ、そこには、一定の壁が存在すると想定しなければなりません。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

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    本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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    岡田 豊

    プレジデント社

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