(※写真はイメージです/PIXTA)

気候変動、貧困、飢餓、さらに戦争など地球規模の深刻な問題があふれています。日本人は時に、自分の利益を我慢してでも、他人を思いやることができる素晴らしい特長があります。唯一の被爆国であり、平和主義を掲げる日本人は、地球市民にふさわしい資質を持っています。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社)で解説します。

日本人は地球市民にふさわしい資質がある

そんな時、宇津木監督は上野さんにこう言ったそうです。

 

「自分のためでなく、人のためにソフトボールをやりなさい」(8月9日のNHKから)。

 

「人のためにやる」とはどういう意味なのでしょうか。

 

上野さんの心は再びソフトボールに向かい、ついに頂点に立ちました。表彰式の後、上野投手のもとに歩み寄ってきた選手がいました。長年のライバル、アメリカのエース、モニカ・アボット投手でした。「13年間、ソフトボール界を一緒に引っ張ってきてくれてありがとう」とアボットさんは言ってくれ、上野さんはそれがすごく嬉しかったそうです。

 

「スポーツは人と人をつなぐ」とアボットさん。上野さんが心に刻んだ言葉「人のためにやる」とは、自分のチームメートや、自分の国、日本のためだけにやる、という意味ではなかったのでしょう。

 

地球市民という言葉があります。自分の帰属先について、国・地域という枠や、人種、宗教、文化、思想といった枠にとらわれない広い概念。連帯を示す言葉です。気候変動、貧困、飢餓など地球規模の深刻な問題があふれています。

 

国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)を達成しようと各国が連携しようとしています。日本がより日本らしくあるために、日本人がより日本人らしくあるために、国という小さな枠から抜け出して、地球市民になるんだという意識が大切になってくる気がしています。

 

日本人は時に、自分の利益を我慢してでも、他人を思いやることができる素晴らしい特長があります。唯一の被爆国であり、平和主義を掲げる日本人。日本人は、地球市民にふさわしい資質を持っている気がします。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

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本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自考

自考

岡田 豊

プレジデント社

アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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