断る練習は「苦手なアカウントをブロック」
■「断る」訓練で「ノーと言える人」になる
上司のむちゃぶり対策として、もう1つ非常に効果的なのがTO DO LISTです。
パソコンや手帳にメモしている方が多いと思いますが、めんどくさい人対策としておすすめなのはA4用紙にやるべきことを書き出しておくこと。
タスクの内容とあわせて、優先順位や依頼者、締切などを大きめの文字で書き、それを誰にでも見えるように机の上に置いておきましょう。
可視化することで、依頼を引き受けるのが難しいことを説明する手間が省けるだけでなく、紙に書かれた依頼者が上司より上の役職の人だった場合などは、さりげなくプレッシャーをかけることもできます。
いくらめんどくさい上司といえども、自分の上司の仕事を差し置いて、自分の依頼事項を優先させるほどの図々しさはありません。
むしろ、相手次第で態度を変えるような人たちですから、分が悪い相手だと分かればすぐに諦めてくれるでしょう。
しかし、中にはどうしても、めんどくさい人に限らず、断ること自体に抵抗がある方もいらっしゃると思います。
そういう方のために、とっておきの「お断り」練習方法があります。それは、「SNSで苦手なアカウントをブロックする」という方法です。
SNSユーザーが増え、見ず知らずの人とつながることが普通になった今、SNS上で関係を断つことに抵抗感や恐怖心を抱いている人が少なくありません。
顔も見たことがない、実際に会うこともない相手にもかかわらず、オフラインの人間関係同様、関係を切ることを躊躇してしまうのです。
実際、私もSNS上でのトラブルのご相談を受けたことがありますが、「ブロックしたらいいのではないですか」と尋ねても、どうしても抵抗があるようでした。いきなり知り合いをブロックするのは抵抗があるでしょうから、最初は見ず知らずの人で大丈夫です。
面と向かって伝えるわけではなく、画面をタップするだけですから、騙されたと思って1度トライしてみてください。人との関係を切ることに慣れていくのです。優しいあなたは、相手が傷つくのではと不安になるかもしれませんが、案外相手はブロックされたことにさえ気がつかないもの。
ブロックしたあなた自身も、その日は気になってしまうかもしれませんが、一晩寝たら忘れてしまうことも少なくありません。
つながりやすい時代になったからこそ、付き合う人や取り入れる情報を自分で取捨選択する、つまり自分の意志で「ノー」を判断できなければ、時間やエネルギーを浪費してしまうだけでなく、精神的にも負担になってしまいます。
SNSのブロックは自分を守るいい練習だと切り替えて、我慢することをやめていきましょう。
こうした対策を実践していても、時にはうまくいかない日もあると思いますが、重要なのは1つでも自分の意志で抵抗できたということです。
ただただ言いなりになるだけだったところから、ワンクッション置けたということは、距離がとれたということに違いありません。
小さな成功体験をしっかり噛みしめて、少しずつ自信をつけていきましょう。
井上 智介
産業医
精神科医
健診医
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