5LDKに一人…庭の草取りを終えた日に考えたこと
夏のある朝、修一さん(仮名・68歳)は庭の草取りを始めました。午前7時から作業を始めたものの、1時間ほどすると汗だくになり、玄関先の椅子に腰を下ろしました。
「まだ半分も終わってないのか……」
目の前には、伸びた雑草と生け垣が残っています。
修一さんが暮らしていたのは、30年以上前に購入した5LDKの戸建てです。妻は4年前に亡くなり、2人の子どももすでに独立。今では2階の3部屋はほとんど使っていません。
年金は月約14万円。住宅ローンは完済していましたが、固定資産税や火災保険に加え、家の修繕費も必要です。
前年には給湯器を交換し、約30万円を支払いました。さらに外壁の塗り直しを業者に相談すると、100万円を超える見積もりが出ました。
「ローンがないから、家さえ持っていれば老後は安心だと思っていました。でも、古くなれば直すところが次々出てくるんですよね」
金銭面だけではありません。
1階だけで生活はほぼ完結するのに、定期的に2階へ上がって窓を開け、掃除をする。秋になれば落ち葉を集め、冬には庭木の手入れも必要です。
ある日、長男の直樹さん(仮名・42歳)が実家を訪れた際、修一さんが脚立に乗って庭木を切っているのを見て言いました。
「もう自分でやらなくていいんじゃない? この家、本当に一人で必要?」
家を売ることなど、それまで考えたこともありませんでした。しかし改めて見回してみると、毎日使っているのはリビング、台所、寝室くらいです。
国土交通省『令和5年住生活総合調査』によると、住み替えを考える理由には、住宅の広さや使いやすさ、生活利便性などさまざまな要因があります。高齢期には、現在の住宅を維持し続けることが自分の暮らしに合っているかを見直すことも選択肢となります。
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