「思考の癖」を直すとラクになる
■メタ認知で考えや思考の癖をなおす
自信が持てない、落ち込みやすい、すぐ心配になるといった方にチェックしていただきたいのは、
「その不安や自己否定感は、あなたの思考の癖によって生み出されたものではありませんか?」
ということです。
人間の思考には、癖があります。
成功体験がたくさんある人は、新しいチャレンジをする時も「やってみよう」「今度もきっと大丈夫」と思えます。
しかしそうでない人は、何もしていないのに「どうせ自分にはできない」「やっぱり自分はダメなんだ」と自動的に負のループに入ってしまい、あたかもそれが事実のように認識してしまうのです。
実際に注意をされたわけでもないのに、「あの部長の機嫌が悪いのは私のせいかも」と思ったり、「取引先からメールの返信がないのは、提案内容がダメだったに違いない」とどんどん悪い方向に考えてしまうのは、あなたの思考の癖が原因かもしれません。
その思考の癖を意識して手放すことができれば、ぐっと生きやすくなるでしょう。そのために訓練していきたいのがメタ認知です。
メタ認知というのは俯瞰して自分を見ることです。幽体離脱のように、第三者の視点から自分を見ている状態をイメージすると分かりやすいと思います。
たとえば、上司に怒られている時、話を真剣に聞けば聞くほど落ち込んでしまいます。
ミスをしたなら、もちろん素直に反省・改善すべきところはあるでしょうが、一方的に怒鳴るような指導は指導とは言えません。
そんな時は相手の言葉を真に受けず、状況を実況してみてください。
「井上、怒られているな」
「△△課長、またものすごく怒ってるよ」
「でも××課長が言っていること、支離滅裂だな」
といったように一歩引いて状況を見ることができると、ダイレクトにダメージを受けずに済みます。
ミスをした時に重要なのは、落ち込むことではなく、適切に対処し、次回同じことを繰り返さないよう対策することです。
その場の空気に飲まれてパニックになってしまうと、自分のせいではないことまで自分の責任だと感じてしまったり、冷静な判断ができなくなってしまいます。
冷静さを失わないためにも、メタ認知で状況を客観的に見るトレーニングをしていきましょう。
メタ認知は、相手がいる場合だけではなく、自分の中で起こっていることにも使うことができます。
たとえば先ほど出てきたような、些細なことでとても落ち込んでしまうような場合には、
「ああー、自分はだめだ」
ではなく、
「井上は、今とても落ち込んでいますねぇ」
と、第三者になったつもりで主語を自分にして状況を説明すると、メタ認知のトレーニングになり、自分の思考の癖に気づくこともできますよ。