(※写真はイメージです/PIXTA)

子や孫への援助は、家族の将来を応援したいという思いからおこなわれるものです。しかし、渡す側にとっては大きな決断でも、受け取る側にはその重みが十分に伝わらないことがあります。感謝を求めるつもりはなくても、何の連絡もなければ、寂しさや後悔が残ることもあります。

「電話くらいくれると思っていました」待ち続けた2週間

和代さん(仮名・69歳)は、夫を亡くしてから一人で暮らしています。受け取っている年金は月14万円ほど。持ち家のため家賃はかかりませんが、固定資産税や光熱費、医療費を払うと、大きな余裕はありません。

 

長男の亮介さん(仮名・43歳)は、妻と高校3年生の息子と暮らしています。孫は第一志望の私立大学に合格しましたが、入学金や前期授業料、一人暮らしの準備費用が重なり、家計は厳しいようでした。

 

ある日、亮介さんから電話がありました。

 

「入学時だけで、こんなにかかるとは思わなかったよ」

 

援助を頼まれたわけではありません。ただ、ため息交じりの声を聞いた和代さんは、孫の進学を支えたいと思いました。

 

和代さんには、夫が残した預貯金を含めて約1,600万円の金融資産がありました。とはいえ、これから自宅の修繕や介護が必要になる可能性もあります。100万円は気軽に出せる金額ではありませんでした。

 

「でも、孫の進学は一度きりだから」

 

和代さんは定期預金を解約し、亮介さんの口座へ100万円を振り込みました。

 

振込後、メッセージを送りました。

 

「入学準備に使ってください。おじいちゃんも、きっと喜んでいると思います」

 

既読はつきました。しかし、その日は返信がありませんでした。

 

翌日になっても、電話はかかってきません。忙しいのだろうと思いながら、和代さんはスマートフォンを何度も確認しました。

 

「孫からも電話があるかもしれない」

 

そう考え、外出するときも着信に気づけるよう音量を上げていました。それでも1週間が過ぎ、2週間が過ぎても、家族から連絡はありませんでした。

 

総務省『家計調査報告 2025年(令和7年)平均』によると、65歳以上の単身無職世帯では、可処分所得が月11万8,465円であるのに対し、消費支出は14万8,445円です。平均では毎月約3万円の不足が生じています。年金月14万円の和代さんにとって、100万円は月々の不足を数年分補えるほどの金額でした。

 

「ちゃんと振り込めているのかしら」

 

不安になった和代さんは、ついに亮介さんへ電話をかけました。

 

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