経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

「カップルでも兄弟でも」活用できるスタイルを訴求

間取りのニーズは地元の不動産会社に聞け

 

入居者のターゲットが明確になってきたら、そのターゲットのニーズに合う部屋を考える。入居者ニーズは大きく3つに分けられる。

 

(1)設備に対するニーズ
(2)建物の造り・間取りに対するニーズ
(3)管理に対するニーズ

 

(2)の建物の造り・間取りに対するニーズについてだが、一般的に木造アパートよりRC造マンションの方が人気は高いだろう。堅固で階層も高く、グレード感はアパートよりも優位になる。

 

1Fの古本屋を趣味を楽しむスペースにリフォームすると。(※写真はイメージです/PIXTA)
1Fの古本屋を趣味を楽しむスペースにリフォームすると。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

しかし、いくらマンションの人気が高いといっても、実際に住むとなると話はまた別で、ネックは家賃となる。家賃は「場所×建物の構造×築年数」で決まるが、入居者にとって、住みたい場所と築年数のどちらを優先するかで、建物の構造は決まる。場所を優先するなら、家賃がマンションよりも割安なアパートの方を選ぶだろう。また、マンションとはいえ、築年数が古く、メンテナンスがきちんとされていないと、家賃は同等か少し高くても築年数の浅いアパートの方を選ぶケースもある。

 

なお、木造戸建ては賃貸として希少価値が高いので、比較的どのエリアでもニーズがある。

 

間取りについては、どのような入居者層が対象になるかで決まる。単身者向けならワンルーム、1K、1DK、1LDK、2Kとなるし、二人暮らし向けなら広めの1DKや1LDK、2K、2DK、ファミリー向けなら2DK、2LDK、3DK、3LDKとなるだろう。ポイントは募集の仕方にある。ワンルーム、1Kは対象を変えようがないが、1DK以上の間取りになると、対象の幅が広がる。単身でも、2人でも住めるからだ。

 

例えば、「カップルはもちろん、兄弟・姉妹でも住めます」と募集チラシに入れてもらうと、兄弟で住もうとしている人の目に留まりやすいだろうし、事務所兼自宅の「SOHO」としてでも募集できる。どこにポイントを置くか、その点はやはりそのエリアにどんなニーズがあるかで決まる。

 

こうした建物の造り、間取りについてのニーズは、地元の不動産会社にどんな来店者がいて、どのような部屋を探しているのか、いろいろ聞いてみるのが有効だ。

 

この部屋で実現できる生活スタイルを訴求する

 

埼玉県郊外にある築40年以上の店舗付き住宅を購入した三本勝己さん。もともと1階は古本屋で2階が1LDKの自宅、1、2階合わせて面積は60㎡ほどだった。

 

特色のある賃貸の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業展開しているコンセプトエール(東京都豊島区)の久保田大介社長が同物件を見つけて、「店舗スペースを、趣味を思う存分楽しめる多目的スペースにしたら、面白い賃貸物件になると思います」と三本さんに提案。三本さんはサーファーズハウスなどコンセプトのある賃貸物件を手がけていたこともあり、すぐに理解して、購入した。

 

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

ひと昔は、大家さんというと「不労所得が得られる」と言われた。現在は人口が減少し、空室は増え、入居者の層も多様化し、世の中が複雑化したことで、大家の経営の難易度は確実に上がっている。しかし、やり方さえ間違わなけれ…

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