そろそろ相続対策を始めるか…家族総出14人でハワイ旅行に行った77歳男性。親戚から「贅沢のし過ぎでは」と苦言を呈されるも余裕しゃくしゃくだったワケ【相続の専門家が解説】

そろそろ相続対策を始めるか…家族総出14人でハワイ旅行に行った77歳男性。親戚から「贅沢のし過ぎでは」と苦言を呈されるも余裕しゃくしゃくだったワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続の準備はまず、相続人と財産の確認から始まります。財産評価をした際、金融資産が多い場合には、賃貸不動産を購入したり、現金を贈与したりするなど、有効な節税対策はいくつかありますが、なかでも家族旅行をするといった消費活動も、相続対策を進めるうえで有意義な時間につながることがあります。本記事では、70代を迎えた正さんご夫婦の事例をもとに、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、円満な相続対策の進め方について解説します。

夫婦ともに70代を迎えて、いよいよ相続の準備を

まだ現役コンサルタントとしてマイペースに仕事をされている正さん(77歳男性)。妻もほどなく70歳になり、夫婦で相続の年代になるということから、その用意をしておきたいと、今回相談に来られました。

 

正さんの相続人は妻のほかに、3人の息子がいます。長男家族は、正さん夫婦と同居をしており、また、次男、三男は、近くにマンションを買って生活してはいるものの、2人とも家が近いこともあり、なにかと集まる家族だといいます。

 

これから相続に向けて準備すべきことを提案してもらいたいとのことでしたので、課題を整理し、課題解決のための「相続プラン」を作りました。

相続の準備はまず、相続人と財産の確認から

まず相続に向けた準備の入り口は、相続人の確認です。相続人は妻と3人の息子たちですので、基礎控除は5,400万円です。

 

続いて財産の確認、評価に入ります。正さんの自宅敷地は150坪あり、うち50坪が自宅、隣接する土地100坪には、以前正さんの父親が経営していた工場があったそうです。祖父の代から父親と叔父たちで板金加工をされていたらしく、親族経営は安定していましたが、長男である正さんが家業を継ぐことはなく、また叔父の子どもも嫁いで離れてしまったことから、工場は父の代で廃業し、現在はアパートに建て替えられていました。

 

こうしてみると正さんの財産は、そのほとんどが父親から相続した財産で、自宅は4,000万円、敷地内にあるアパートは7,000万円という評価に。預金は5,000万円、株は1億5,000万円。相続税を計算すると、計5,580万円となりました。

妻にも財産がある場合は

配偶者には特例があり、財産の半分、あるいは1億6,000万円までは相続税の納税はなして相続できます。これを一次相続といいますが、次に、その配偶者が亡くなった際の二次相続と呼ばれる相続においては、一次相続の財産と配偶者独自の財産を合わせた財産に対して相続税が課されます。さらに二次相続では相続人が1人減っていますので、基礎控除も少なくなり、一次相続より相続税が増えることがあります。

 

よって配偶者独自の財産が多い場合は、一次相続での特例を利用せずに子どもたちが相続して納税したほうがいいケースもありますので、見極めが必要です。

 

正さんの妻は、自分が働いて貯めてきた預金と自分の親から相続した預金や株で8,000万円の金融資産があるといいます。こうした場合、一次相続で妻が財産の半分を相続すると二次相続も含めた相続税の合計が多くなるため、妻が相続しないほうが相続税は少なくて済むのです。

 

次ページ節税対策その1:金融資産を賃貸不動産に

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