自分が感じた不便を解消して、入居者の信頼を得る
入居者に住み心地のよさを感じさせる「管理力」
最後に(3)の管理に対するニーズは、設備や建物の造り・間取りと比較すると、目に見えない差別化ということもあり、それほど注目されるニーズではないだろうと思われるかもしれない。しかし、実際住んでみると、入居者はすぐに住み心地に直結する重要なポイントであることに気づくので、結果として退去率の低下につながる。だからこそ、内見時にこの賃貸住宅に住むと、管理が行き届いていて住み心地がよさそうだと感じてもらうことは重要だ。
長野県長野市に約50戸を所有する渡辺一男さんは、自身で作った賃貸住宅のホームページ上で、入居者が「困らない」よう、さまざまな情報を提供している。
例えば、部屋の窓にかけるカーテンのサイズがわかるように「掃き出し窓タテ210㎝×ヨコ175㎝」「腰窓タテ95㎝×ヨコ50㎝」、ガスコンロは持ち込みのため「ヨコ60㎝未満」、洗濯機置き場は「ヨコ80㎝未満」などと表示。引っ越す前にサイズがわかれば、手持ちのガスコンロや洗濯機、カーテンが使えるかどうかわかるし、使えない場合は引っ越し前に購入できる。
また、共用設備の紹介のページでは、敷地内のごみ置き場の様子がわかるような写真、来客者用駐車場を2台確保していること、貸し出し用の工具を共同物置に用意していることなども掲載している。こうした細かい配慮は、部屋探しをしている人に、「きちんと管理してくれる賃貸住宅」と好意的に見てもらえる。
渡辺さんが、このようなサービスを始めたのには理由がある。自身のサラリーマン時代の単身赴任の期間、賃貸住宅に数カ所住んだ経験があり、さまざまな不便さを感じたからだった。その時感じた不便さの解消が、このサービスに盛り込まれているのだ。
「ニーズとは、入居者の困りごとの解決にこそある」と、ある家主から聞いたことがあるが、まさにそのことを意識して、管理をすることが重要だろう。
永井ゆかり
「家主と地主」編集長
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