80代母親の財産は〈不動産3つと預金3,000万円〉だが…59歳長女が頭を抱えた「分けにくい相続」の現実と解決策「その手があったか!」【相続の専門家が解説】

80代母親の財産は〈不動産3つと預金3,000万円〉だが…59歳長女が頭を抱えた「分けにくい相続」の現実と解決策「その手があったか!」【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続は事前の準備が重要です。適切な対策を講じることで、相続税の負担を軽減し、円満な資産承継を実現することができます。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が解説します。

父親が相続対策していたお陰で相続税はなしに

佳代さん(59歳・女性)から母親(86歳)の相続の相談がありました。15年前に佳代さんの父親が相続対策をしたいと相談に来られたことがきっかけです。

 

当時、父親は仕事をリタイアした70代。自宅の評価が高く、退職金などの金融資産もあったため、数千万円以上の相続税がかかると試算されました。そこで、自宅の住替えをご提案したのです。

 

母親と二人暮らしするには広くなった戸建て住宅を売却して、駅近の2LDKのマンションに住み替えられ、ワンルームマンションも2室購入することができたのです。

 

その数年後に父親は亡くなりましたが、母親の配偶者税額軽減の特例を活かし、その範囲内で相続できましたので、申告は必要でしたが、相続税の納税はしなくてもよかったのでした。

 

母親が入院、車椅子生活になるかも

父親が亡くなったあと、母親は自宅マンションでひとり暮らしをしてきました。とても元気ではありましたが、80代後半になり、自宅内で転倒してしまい、入院、手術となり、現在もリハビリの最中だと言います。

 

病院の医師から言われていることは、「まだ当分、リハビリを続ける必要があり、その間は車椅子生活になる可能性が高い。自宅での一人暮らしはできないこともある」ということでした。

 

佳代さんは長女で、妹が2人、弟が1人いますが、みな結婚して実家を離れて生活していますので、母親の介護のための同居はできそうにありません。これからの1人暮らしの不安を考えると、介護をしてもらえる介護付き高齢者住宅に住んでもらうのが安心だといいます。

母親の財産と相続税

母親はずっと専業主婦でしたので、現在の財産は10年前に亡くなった父親から相続したものです。自宅マンションと賃貸マンションが2室、預金が3,000万円あり、評価の総額は8,500万円となりました。相続人は4人で基礎控除は5,400万円ですので、相続税の申告が必要になり、300万円程の相続税がかかる試算となりました。預金もあるので、相続税の納税には問題はありません。

マンションは値下がりする資産ではない

自宅のマンションは最寄駅から徒歩3分の立地でブランド力のあるマンションです。父親が買った15年前よりは現在の流通価格のほうが高く、値上がりしています。

 

1.3倍から1.5倍程度も値上がりしています。バブル崩壊時に一度に下がった路線価評価ですが、30年前のバブル経済の評価を越して、年々値上がりしている状況です。かつてのように、マンションは買ったときから値下がりが始まるということばかりではなく、立地によっては何年経過しても価格が下がらないものや値上がりしているものも出てきました。

 

この先もそうした状況が続くかは不明ではありますが、分譲マンションは立地や間取りを慎重に選べば、資産としては持つ価値があるといえます。

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