経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

プライスレスな幸せをゲットしたサラリーマン大家

ユニークなコンセプトの賃貸住宅で人生が豊かに

 

収益不動産はお金を稼ぐ箱として注目されているが、得られるものはお金だけではない。家主業でプライスレスな幸せを感じている人たちが増えている。

 

50歳直前までサラリーマンとして働き、2007年から不動産を購入し始め、今や126戸の賃貸住宅と、太陽光発電、ロードサイド店舗、海外不動産を所有する東京都荒川区の夏山栄敏さんは、「賃貸経営のおかげで人生が豊かになった」と笑顔で話す。そんな夏山さんが今最も楽しみながら取り組んでいるのが、築50年のアパートを食事付き賃貸住宅として再生した建物の運営だ。

 

2棟20戸からなるこの賃貸住宅のユニークな点は、管理人でもあり、料理人でもある夫婦が建物内に住み、共用リビングで食事を提供することにある。

 

入居者と共にバーベキューをしたり、たこ焼きパーティーをしたりと大家業を楽しんでいるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
入居者と共にバーベキューをしたり、たこ焼きパーティーをしたりと大家業を楽しんでいるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

朝食200円、夕食500円という安価ながら、平日に提供するメニューは毎日異なる。店で食べたら通常1000円ほどかかる料理が500円で食べられる環境は、一人暮らしの入居者にとってうれしいサービスだろう。しかも最近は、神奈川県・平塚漁港の漁師さんから月に1度は朝獲れの魚を直に仕入れている。その新鮮な魚は、晩御飯に刺し身の盛り合わせとして提供されるという。

 

基本的に予約制で、入居者は朝食の場合、前日の正午まで、夕食の場合は当日の正午までに連絡する。夕食の提供時間は午後9時までだが、間に合わない場合はお弁当にして取り置きしているという。料理するのは、夏山さんの義妹夫婦だ。彼らは入居者たちの親のような存在で、元日本料理の料理人だけあって、味は折り紙付きだ。

 

運営は2019年にスタート、家賃は4万9000〜5万4000円とした。実は当初募集には苦労した。地元の不動産会社に募集を頼んだが、食事付きであることや、各戸は14〜15㎡と狭小であるものの、共用リビングや庭にバーベキュー用のかまどがある点などの魅力が全く理解されなかった。揚げ句に「もっと家賃を下げた方が決まりますよ」と言われる始末。20戸ある部屋はなかなか決まらなかったという。

 

だが、シェアハウス専門WEBメディアを運営するひつじインキュベーション・スクエアの北川大祐社長に出会ったことがきっかけで、2月下旬からシェア生活情報サイトの「ひつじ不動産」で募集を始めたところ、次々と入居者が決まり始め2カ月後には満室になった。

 

「こういう建物は面白い人が入ってくるし、楽しいね」と語る夏山さん。入居者と共にバーベキューをしたり、たこ焼きパーティーをしたり、今ではバーベキューインストラクターの資格まで取得したほど。入居者との交流について話す夏山さんの生き生きとした表情はとても印象的だ。

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

ひと昔は、大家さんというと「不労所得が得られる」と言われた。現在は人口が減少し、空室は増え、入居者の層も多様化し、世の中が複雑化したことで、大家の経営の難易度は確実に上がっている。しかし、やり方さえ間違わなけれ…

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