収支計画の基本は収入と支出を算出すること
「デッドクロス」は賃貸経営の一大転換点
賃貸経営では、最初にどんな不動産を購入するかが肝心だ。買った不動産次第で収支計画は大きく変わってくる。収支が悪化すると、最悪の場合、自己破産などという事態を招きかねない。だからこそ、余裕のない収支計画は回避しなければならない。
賃貸管理業務は管理会社に委託できるが、経営の根幹となる財務管理は、家主自身が行わなければならない。物件購入前に収支計画を立てて、購入予定の不動産できちんとキャッシュフロー(手元に残るお金)が出るかをシミュレーションし、購入するか否か判断する必要がある。
収支計画の基本は、収入と支出を算出すること。賃貸経営における収入は家賃収入だが、支出にはいくつかの項目がある。その中で特に注目したいのは、不動産の「三大費用」、すなわち減価償却費、借入金利息、租税公課+修繕費だ。この三大費用の内容や関係を把握し、理解を深めれば、賃貸経営で最も重要なのは、税引き後のキャッシュフローをプラスに保ち、増加させることだとわかってくる。
特に、不動産資産を持たないサラリーマン出身の家主が、最初の物件の購入資金を多額のローンでまかなった場合に起こる「デッドクロス」を説明することで、減価償却費、借入金利息、税金の関係を明らかにしていこう。
その前提として、借入金返済の主な2つの方法、「元利均等返済(以下、元利均等)」と「元金均等返済(以下、元金均等)について簡単に説明しておきたい。
元利均等とは、毎月の返済額が一定となる返済方法。当初は利息部分の比率が高く、返済が進むにつれ元金の比率が高まってくる。返済額が一定のため返済計画が立てやすい、元金均等に比べて返済開始当初の返済額を少なくすることができるといったメリットがある一方、同じ借入期間の場合、元金均等より総返済額が多くなる、借入金残高の減り方が遅いというデメリットがある。