エリアマーケティングは地元不動産屋に聞け
物件のエリア・マーケティング3つのポイント
これまで賃貸不動産の購入までの心構えについて、「情報収集」「不動産の選び方」「不動産の現地確認」「収支計画」「融資」のテーマで紹介してきたが、ここからは購入後の賃貸住宅の経営について紹介する。
ここでは、入居者ニーズを取り入れた賃貸住宅を提供することが、空室リスク回避のカギを握ることを伝えたい。
家主業では、支出を抑えることも重要だが、最も大事なのは家賃収入を確保することだ。家主業の収入は家賃だからだ。家賃収入を最大化するためには、空室をつくらないことに注力しなくてはいけない。空室をつくらないためには、部屋を探している人に「この部屋に住みたい」と思わせることが重要だろう。つまり、入居者のニーズにマッチした部屋づくりが必要だ。
では、どうやって入居者ニーズを把握すればいいのか。最も重要なのは、自身が取得した賃貸住宅のエリアのマーケティングをすることだ。
マーケティングのポイントは3つある。
(1)どんな人が住んでいるエリアか
(2)どんな賃貸住宅が多いエリアか
(3)その入居対象者がそのエリアに住む理由は何か
この3点について探るためには、地元の不動産会社を回ることが有効だ。
例えば、大学があるエリアでは、(1)については学生が多く、(2)の賃貸住宅の種類は、学生向けのワンルームまたは1Kの賃貸住宅が多くなる。また(3)の学生がそのエリアに住む理由は、大学が近いからだといえる。大学があるエリアに不動産を購入する場合、単身者向けのアパートであれば、通常は学生向けに貸すということになるだろう。
しかし、それだけで即決してはいけない。不動産会社を回ってエリアの市場についてヒアリングするときは、学生以外にどんなニーズがあるかを必ず聞かなくてはいけない。当然のことながら、そのエリアには学生向けに賃貸しているライバルが多いからだ。あえてライバルの多い学生を入居者ターゲットとして運営するのか、あるいは、少数派ではあるが、学生以外のニーズを対象とするかを検討する必要がある。
「ターミナル駅でなくても、駅から近ければターミナル駅より家賃が安いので、社会人で部屋探しする人が増えている」などという情報が入れば、ライバルだらけの「レッドオーシャン」を狙うより、まだ潜在的なニーズとしてしか知られていない「ブルーオーシャン」である一人暮らしの社会人向けの需要に目を向ける方が、成功する確率は上がるのではないか。あるいは、単身者向けではなく、あえて二人暮らし向け、ファミリー向けの物件購入を検討するという選択肢もあり得る。単身者以外のニーズがどれだけあるのかを、不動産会社を回って聞くことも重要だ。