地元のおじいさんが町内会で…「人が逃げる街」の悲しい末路

新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は激変している。景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産激変 コロナが変えた日本社会』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

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人が逃げた街はコミュニティーが硬直化する

私は仕事柄、国内のいろいろな地方にある街を訪れ、そこで仕事をする機会に恵まれてきました。そんな理由から、経済誌である「週刊東洋経済」に毎週「人が集まる街逃げる街」という連載をかれこれ2年半も担当させていただいています。連載でもよく触れるのですが、人を集める元気な街には必ずと言ってよいほど、街にメッセージ性があるということです。

 

新潟県の燕市と三条市では街の地場産品である、高性能のハサミや爪切りを外国などに紹介して、世界から称賛されるようになり、イベントでは町工場を開放して多くの観光客を集めています。

 

コミュニケーション能力の低下が街に停滞を招く。(※写真はイメージです/PIXTA)
コミュニケーション能力の低下が街に停滞を招く。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

岐阜県の高山市では、11カ国に及ぶ言語に翻訳したホームページを作成しただけでなく、外国人観光客に電動自転車を使わせて、市内の至るところを訪ねてもらう手法を採用したところ、日本人ではあたりまえすぎて、さして感動もしなかった水田の美しさが注目を浴び、そのことが世界中に喧伝されることで、さらに多くの観光客を集めることに成功しました。

 

私の知人は、大学生のときに新潟から憧れの東京に出てきました。東京はあまりに魅力的であったので、当然そのまま東京に就職しようと考えたのですが、地元生活の居心地の良さが忘れられず、結局地元の新潟で就職をしたそうです。

 

彼女が考えたのは、たしかに東京はとても素敵な街であるけれども、自分ができることを考えると東京ではほんのちっぽけな存在にしかなれない。それならば自分は新潟在住で、東京とのコンタクトを絶やさずに、東京の良いところ、素敵なところを新潟に持ってきちゃえと、考えを変えたそうです。その結果、多くのコミュニケーションが発生し、地元にも大いに貢献ができていると言います。

 

地元の人たちはともすると、地元の心地良さだけに浸って、他所との交流を避けるようになり、なかなか自身の殻を破れなくなると言います。そこで自分が東京の良いところを勝手に持ち込んで地元に刺激を与え続けることで、また新たなコミュニティーが形成されることを狙ったのだそうです。

 

人が逃げる街の典型が、街のコミュニティーが硬直化することです。人の出入りが少なくなり、いつも同じメンバーだけが集まって生活する街は、みんなが同じように考え、同じように行動するようになるので、一見すると居心地の良さそうなコミュニティーに映ります。ところが同じメンバーが何度集まったところで、新しいアイデアはなかなか生まれません。年を経るごとに、メンバーも高齢化していきます。高齢になると多くの人は現状を維持するだけでよい、新しいことを考えるのは面倒くさいというパターンに陥ります。こうしたコミュニケーション能力の低下が街に停滞を招くのです。

 

よそから常に新しい人、もの、カネ、そして何よりも重要なのが、情報が入ってくることによって街の血液が常に入れ替わり、街の新陳代謝が進みます。

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

極地的な上昇を示す地域がある一方で、地方の地価は下がり続けている。高倍率で瞬時に売れるマンションがある一方で、金を出さねば売れない物件もある。いったい日本はどうなっているのか。 「不動産のプロ」であり、多くの…

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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牧野 知弘

祥伝社新書

不動産が高騰し続けている。 銀座の地価は1980年代のバブル期を上回り、三大都市圏と「札仙広福」(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇が著しい。国内外の投資マネーの流入、外国人富裕層の購入を背景に、超大型ビルや再開発の計画…

不動産激変 コロナが変えた日本社会

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祥伝社新書

新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は大激変している。「不動産のプロ」であり、長く現場の動向を観察してきた著者は、そう断言する。いったい、何が変わるのか?たとえば、従来社員一人当たり三坪で計算されて…

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