ポスト・コロナ時代の街のコミュニケーション方法
さて、ポスト・コロナの時代に、街はどのようにしてコミュニケーションを創っていけばよいのでしょうか。実はここにもコロナ禍で実験を繰り返した情報通信端末の威力が発揮される余地があります。
コロナ禍が日本社会にもたらしたのは、ともすると、人の移動を制限すること、家に居続けることと考えがちです。しかし人はそもそも家にだけ籠もって生活することは、世界が氷河期にでもならない限り、現実的な話ではありません。
今回のコロナ禍で人々が学んだのは、なんでも都市部に集中して、密になって生活することの危うさでした。これまでは都市部に集中して生活することで、効率的で建設的なコミュニケーションが形成できると信じられてきましたが、実際は仕事においてもあまり生産性が高いものとは限らないことに、多くの人たちが気づくことになりました。
密になるリスクを避けるために、人は「散って」生きなければならない。散って生きることを考えると、これまで都市部で謳歌してきた便利さの多くを失うのではないかという不安が頭をもたげます。ところがコロナ禍では自宅にいても、情報通信端末を駆使することで仕事ばかりでなく、買い物や毎日の生活にあまり支障をきたすことなく過ごせることが確認できました。
では、今までのように都心近くに居を構えなくとも、もっと散らばって生活するためにどんな街に住めばよいのかという話になってきます。それを考える際、街のコミュニケーションツールの充実度が一つの重要な尺度になります。
たとえば郊外都市や地方都市にいても東京都心と同じような情報通信インフラが構築されている、安心・安全は確保され、買い物もネットなどを通じて自由にできる。街には現代人の味覚や好みを十分に満足させるレストランがあり、オンラインも含めた充実した教育を受けられる学校がある、いざというときの医療体制も整っているなど、こうした基本情報を、簡単に入手できる情報インフラと、住民同士で有益な情報を交換できるコミュニケーションインフラが存在することが条件となるでしょう。
これまでの通勤のためのベッドタウンには、街としてのコミュニケーションはあまりありませんでした。町内会のような過去の遺物のような組織は存在しても、地元のおじいさんたちが牛耳っていて、街の情報伝達は今でも回覧板です。これでは街のコミュニケーションを保ち、発展させることは不可能です。
ポスト・コロナは、こうした過去から延々となんの疑問も持たずに繰り返されてきたコミュニケーション方法をも、ぶち壊す役割を担っているのです。
牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役
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