ポスト・コロナ…トヨタが工場跡地に「新しい街をつくる」意味

新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は激変している。景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産激変 コロナが変えた日本社会』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

NEW【最新セミナー】“医師専門”の資産形成コンサルによる
30代勤務医だけのための投資セミナー〜不動産投資〜

オンラインで配信します。詳細はこちら↑スマートウォッチがもらえます。

ポスト・コロナ時代の街づくりは大きく変わる

ポスト・コロナにおいては、これまでの都心一極集中から郊外、あるいは地方への人の分散が行なわれることが予想されます。しかし、郊外や地方の街であれば、どこでもよいのかと言えばそういうわけではありません。

 

昭和の後半から平成初期にかけては、大都市圏に集まる人々の受け皿として大都市圏郊外へと、住宅は一方的に膨張しました。

 

トヨタ自動車は東富士工場(静岡県裾野市)の跡地に新しい街を建設すると発表した。(※写真はイメージです/PIXTA)
トヨタ自動車は東富士工場(静岡県裾野市)の跡地に新しい街を建設すると発表した。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

とりあえず住む家があればよい。住民のための最低限の商業施設があって毎日の買い物ができればよい。子供が通える学校があればよい。とりあえずは若いファミリーが多いので小学校が必要。そのうちみんな育ってくるのでその先には中学校を用意すればよい。

 

おおむねこんな感じで街づくりが行なわれてきました。家の主人の大半は都心に通勤するサラリーマンでしたので、平日の日中はほとんど街に滞在しない。週末は車に乗って近隣の商業地に出かける。そこにファミリーレストランがあって家族サービスができればよい。こうしたストーリーがすなわち、郊外生活と呼ばれるものでした。

 

ポスト・コロナでは、こうした平板な生活ストーリーはおそらく通用しません。なぜなら、住民の多くが、一日のほとんどを街で働き、買い物をし、寛ぎ、楽しむことになるからです。それぞれの街の魅力が今こそ問われる時代になったとも言えるでしょう。

 

ポスト・コロナの街づくりに欠かせないのが、街の中にさまざまなレイヤーを設けることです。レイヤーとは何でしょうか。ITなどでよく使われる用語ですが、直訳すれば「層」とか「階層」といった意味になります。つまり、さまざまなソフトウェア、システム、ネットワークを構築し、これを街中に張り巡らすことです。

 

どんなに自然が豊かで食べ物がおいしい街であっても、Wi-Fiがつながりにくいのではそもそも仕事ができません。街中の情報はネットを通じてなんでも手に入る。今日は街のどこで何が行なわれている、自分の情報を発信して街の人の関心を惹きつける、双方向の情報のやり取りが街中でごく普通の環境として享受できる、そんな街のインフラが必要になるのです。

 

これからの生活には、シェアリングの考え方がひじょうに大切になります。コロナ禍においては、他人が使った、触ったものは危険であるため消毒する、忌みし、避けるものであるからシェアリングの考え方は後退するという説もありますが、本質的な議論ではありません。

 

感染症対策はなされるべきものですが、では必要なものはなんでもすべて所有しなければならないという理屈にはつながりません。要は安心・安全な処置を施したものをみんなでシェアすればよいというだけの話であるからです。

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

不動産で知る日本のこれから

不動産で知る日本のこれから

牧野 知弘

祥伝社新書

極地的な上昇を示す地域がある一方で、地方の地価は下がり続けている。高倍率で瞬時に売れるマンションがある一方で、金を出さねば売れない物件もある。いったい日本はどうなっているのか。 「不動産のプロ」であり、多くの…

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

牧野 知弘

祥伝社新書

不動産が高騰し続けている。 銀座の地価は1980年代のバブル期を上回り、三大都市圏と「札仙広福」(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇が著しい。国内外の投資マネーの流入、外国人富裕層の購入を背景に、超大型ビルや再開発の計画…

不動産激変 コロナが変えた日本社会

不動産激変 コロナが変えた日本社会

牧野 知弘

祥伝社新書

新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は大激変している。「不動産のプロ」であり、長く現場の動向を観察してきた著者は、そう断言する。いったい、何が変わるのか?たとえば、従来社員一人当たり三坪で計算されて…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧