出生のタイミングで変わる相続税申告
胎児が相続人となるケースでは、遺産分割だけではなく、相続税の申告にも注意が必要だ。
相続税の申告期限は、原則として「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」であるが、問題となるのは、その申告期限までに胎児が出生しているかどうか。出生のタイミングによって、相続税申告の方法が変わるからだ。
◆申告期限までに出生していない場合
父親が亡くなった時点では母親が妊娠していたものの、相続税の申告期限までに出産していない場合が該当する。この場合、相続税申告の時点では、まだ胎児の出生が確定していない。
八ツ尾税理士はこうしたケースについて、「相続税の申告期限までに胎児が生まれなかった場合には、いったん未分割の状態で相続税申告を行い、胎児が出生した後に遺産分割を行い、その内容に基づいて修正申告や更正の請求を行う方法があります」と説明する。
ただし、未分割のまま申告する場合には注意点がある。
「遺産分割が成立していない場合、原則として「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」など、一定の相続税の特例を申告時点で適用できません」(八ツ尾税理士)
そのため、相続税負担を考慮すると、あえて先に遺産分割を行うケースもある。
八ツ尾税理士は、「未分割で相続税申告をすると、配偶者の税額軽減などを利用できないため、実務では一度遺産分割を行って申告し、胎児が出生した後に改めて遺産分割協議を行うこともあります」と話す。
つまり、胎児がいる相続では、「いつ遺産分割を行うか」が重要な判断ポイントになる。
◆申告期限までに出生した場合
一方、相続税の申告期限までに胎児が出生していれば、その子を相続人に含めたうえで申告を行う。
Aさん一家の場合、申告期限の約1か月前に男の子が誕生した。
そのため、相続人は、
長男
長女
生まれた子ども
の4人となり、4人を前提として遺産分割や相続税申告を進めることができる。出生後に相続人が確定したことで、法定相続分や基礎控除額も正しく反映することが可能になった。
