(※写真はイメージです/PIXTA)

相続では、配偶者や子どもが相続人になることは広く知られている。しかし、相続人のなかに「まだ生まれていない子ども」や「未成年者」がいる場合には、どうなるのだろうか。胎児であっても、無事に出生すれば相続開始時にさかのぼって相続人となる。また、未成年者が相続人となる場合には、家庭裁判所で「特別代理人」の選任が必要になるケースもある。制度を知らずに手続きを進めると、遺産分割協議をやり直したり、相続税申告を修正したりする事態にもなりかねない。家庭裁判所で行われている手続きや相続税実務を踏まえながら、「胎児」と「未成年者」が関係する相続で注意すべきポイントを解説する。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

「母親だから代理できる」は大きな誤解…家庭裁判所で初めて知った「特別代理人」

その後、B子さんは無事に男の子を出産した。

 

「これで相続人が確定しましたね」

 

長男がほっとした表情を見せると、税理士は続けた。

 

「実は、まだ大切な手続きがあります」

 

「まだ何かあるんですか?」

 

「遺産分割協議です」

 

「それなら、妻と子ども3人の4人で話し合えばいいですよね?」

 

長男が尋ねると、税理士は首を横に振った。

 

「生まれたお子さんは、まだ赤ちゃんです。当然、自分で遺産分割協議に参加することはできません」

 

「それなら、お母さんが代わりに手続きすればいいのでは?」と長男が尋ねた。

 

税理士はこう説明した。

 

「今回のケースでは、お母さんが代理人になることはできません」

 

理由は、B子さん自身も相続人だからである。母親が取得する財産を増やせば、その分、子どもの取得分が減る可能性がある。つまり、母親と子どもの間で利益が対立する「利益相反」が生じる可能性があるのである。

 

法律では、このような場合、親が子どもの代理人として遺産分割協議を行うことは認められていない。

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