「私が100万円出すよ」孫の合格を聞いて申し出た援助
「入学金だけじゃなくて、最初はいろいろかかるでしょう?」
智子さん(仮名・70歳)がそう尋ねたのは、孫の菜々さん(仮名・18歳)が私立大学に合格した直後でした。
智子さんは8年前に夫を亡くし、現在は一人暮らし。年金収入は月約16万円で、住宅ローンを完済したマンションがあります。夫が残した資産なども含め、預貯金は約1,600万円でした。
一人娘の裕美さん(仮名・45歳)は夫と菜々さん、中学生の長男との4人暮らしです。菜々さんの進学先が決まったことを電話で聞いた智子さんは、「おめでとう」と喜ぶ一方、学費が気になりました。
文部科学省『私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果』によると、私立大学学部の初年度学生納付金等の平均は147万7,339円。内訳は授業料95万9,205円、入学料24万806円。学部などによって差はありますが、入学時にはまとまった資金が必要です。
裕美さん夫婦も進学費用は準備していました。しかし、翌年には長男の高校進学も控えています。
「だったら、私が100万円出すよ」
裕美さんは最初、「そんなにいいよ。お母さんのお金なんだから」と遠慮しました。それでも智子さんは、「まだ貯金もあるし、菜々のために使えるならそのほうがうれしい」と譲りませんでした。
最終的に100万円を援助することになり、菜々さん本人からも電話がかかってきました。
「ばあば、本当にありがとう。大学、頑張るね」
その後しばらくは、入学式の写真が送られてきたり、大学で何を学ぶのかを聞いたりする機会が増えました。智子さんは、それがうれしかったといいます。
「孫の新しい生活に少し関われた気がしたんでしょうね」
内閣府『令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)』によると、60歳以上の25.2%が子や孫の生活費の一部またはほとんどを負担しています。また、今後優先的にお金を使いたいものとして「子や孫のための支出(学費、こづかい等)」を挙げた人も25.8%。高齢期に子や孫へお金を使うこと自体は、珍しいことではありません。
ただ、春が過ぎ、夏になるころには、連絡の頻度は元に戻っていきました。
