裁判所の判断
吉田課長「裁判所はどう判断したのですか?」
次の(1)、(2)の理由を示したうえで、「仮にC社やB社が、A社や原告と同じ内容の議決権を行使することに同意していたとしても、評価会社であるA社の議決権割合を判定する際に、C社やB社の議決権をA社や原告が持っているものとみなすことはできない」と判断し、税務署長の主張を退けました。
(1)同意者の規定は、ある法人が「法人である同族関係者」に当たるかどうかを判断するために設けられた規定である。
(2)同意者の規定は、前掲5.(2)①イ、ロの議決権割合が30%以上、50%超の判定に用いることはできない。
吉田課長「すばらしい相続税対策でしたね」
この裁判における納税者の勝因としては、次の(1)~(3)が考えられます。
(1)相続税法の規定を精緻に読み込んで、相続税対策をしたこと。
(2)甲社長が元気なうちから、相続(税)を見据えた行動を起こしていたこと。たとえば、一部のA社株式の移転先として約3年前にB社を設立していたこと。
(3)A社株式の評価を配当還元方式で行えるようにするため、同社株式の一部を甲一族以外のB社に移転したこと。
なお、経営の視点からみると、甲一族のA社株式の持株割合は減少しました。しかし、A社株式を移転したB社に対して事実上の支配力を持つことで、A社に対する経営権は引き続き確保しています。
多田 雄司
税理士
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