行政指定の「セットバック」で評価の“対象外”に…相続税が減額できる宅地を知ろう【税理士が相続財産の「宅地」評価を徹底解説】

行政指定の「セットバック」で評価の“対象外”に…相続税が減額できる宅地を知ろう【税理士が相続財産の「宅地」評価を徹底解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

故人から不動産を相続した場合、相続税評価上は家屋と土地を別々の財産として評価します。なかでも「土地」はルールが多く、内容も複雑です。そこで本記事では、土地のうち「宅地」に焦点を当て、相続税における宅地評価の考え方と、実務上の注意点を税理士が解説します。

〈登場人物〉

吉田課長:A社で働く課長。3人きょうだい(吉田さん、弟、妹)の長男で、2人の子を持つ。税理士とは業務上のやり取りがある。

相続税評価で複雑な「土地」の評価

吉田課長「親などから土地を相続したときって、相続税の申告で土地の評価をする必要がありますよね。土地の評価って、なんだか複雑そう……」

 

そうですね。ひと口に土地といっても、地目(使用目的)によって宅地・田・畑・山林など10種類に分類されます(財産評価基本通達(以下「財産評価通達」)7)。そのため、評価方法も地目ごとに決められており、多岐にわたります。

 

そこで今回は、対象を「宅地」に絞り、相続税評価の基本的な考え方を確認していきましょう。宅地とは、家屋の敷地となっている土地を指しますが、本記事では文脈に応じて「宅地」または「土地」という表現を用いることとします。

 

吉田課長「基本的な質問になりますが、たとえば、同じ敷地内に自宅とアパートがある場合は、1つの宅地として評価するのですか? それとも、別々に評価するんですか?」

 

自宅とこれに隣接しているアパートの敷地を「1つ」とみなすのか、「別々」とみなすのかは、宅地評価を考えるうえで重要なポイントです。

 

というのも、次に説明する「路線価方式(財産評価通達13)」で評価する場合、道路からの奥行距離や地積の大小、地形などによって評価額が違ってくるのです。まずは下記で、この点に関係する基本ルールを確認しましょう。

 

1.宅地の評価単位(財産評価通達7−2(1))

宅地は、実際の利用単位となっている「1区画の宅地」ごとに評価する。ただし、例えば遺産分割後の画地が、宅地として通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理であると認められるときは、その分割前の画地を「1画地の宅地」とする。

 

また、「1画地の宅地」は、必ずしも1筆の土地からなるとは限らない。

・2筆以上の土地が一体として利用されていれば、1画地として扱われることがある。

・1筆の土地が実質的に2つ以上の宅地として利用されている場合には、複数の画地として評価されることもある(同通達(注)1)。

 

利用の単位となっている「1区画の宅地」ごとに評価します。したがって、質問に対しては、自宅に対応する土地とアパートに対応する土地に区分し、別々に評価するという回答になります(財産評価通達7-2(1))。

 

ただし、評価額を少なくする目的で不合理な分割を行った場合には、分割前の画地を「1画地の宅地」として評価します(同通達)。また、「1画地の宅地」は登記簿上の筆単位ではなく、実態(実際の利用状況)に基づいて判断される点にも注意が必要です(同通達、前掲1)。

 

吉田課長「土地の広さ(地積)って、登記簿に記載されている数字をそのまま使うんですか?」

 

いえ、相続税の評価では、登記簿の数字ではなく、相続開始時点の“実際の面積”を用います(財産評価通達8)。

 

 

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