【裁決事例】個人宅の“売れない庭”に価値があると判断されたワケ
L市が公共事業を行うために、請求人の親Aさんが住んでいた家(旧自宅)が市によって収用されました。この際、Aさんは旧自宅にあった立木を移設するための補償金を受け取り、新自宅にX百万円をかけて移設し、「庭園設備」を造成しました。
その後、Aさんが亡くなり相続が発生。税務署長はこの庭園設備にも相続税評価が必要と判断し、一般財団法人M(以下「M」)に鑑定を依頼しました。そして、鑑定書で示された調達価額YY百万円を相続財産に加算し、相続税を再計算する更正処分を行いました。
請求人Bさん(相続人)は、これを不服として、審判所で争われることになりました。Bさんの主張は、下記のとおりです。
〈請求人の主張〉
(1)本件庭園設備はあくまで個人宅の庭であり、その立地条件などから考えても、庭園設備全体を一体として売却することはできない。実際に買い手も見つからないため、本件庭園設備には交換価値がない。
(2)庭園設備のなかにある立木や庭石、灯ろうなどを個別に売却するとしても、買い手がいることを前提にしても買い取り価額はZ百万円程度にしかならない。また、この庭園設備は自宅敷地内にあるもので、入場料を取れるような性質のものでもなく、宣伝効果や集客力もないため、使用価値もない。
吉田課長「裁判の結果、どうなったんですか?」
審判所は、庭園設備は家屋の固定資産税評価額には含まれていないため、別個に評価すべき財産であると判断し、税務署長の更正処分を支持しました。
また調達価額については、「例えば、庭石については、庭石商の店頭価格ではなく、課税時期において存する庭先への搬入費、据付費を含めた価額によるものと解され」ると述べています。
Bさんの主張(1)「庭園設備を一体として売却できないので価値はゼロ」という点については、
・立木の移設にX百万円をかけていること
・鑑定価額はMが複数の業者に依頼して算定したものであること
・財産評価通達92に定める「庭園設備」に該当すること
を理由に退けました。
また、主張(2)「立木や庭石、灯ろうなどを個別に売却してもZ百万円程度である」という点についても、庭園設備として評価すべきであることを前提に、下記の理由から退けました。
・立木の旧自宅からの移転費にX百万円かけていること。
・立木、庭石、灯ろう等を個別に売却するのではなく、庭園設備全体として価値を判断すべきであること。

